3

ずっと気になってたヤツがいる。

そいつはウソがうまくて詐欺師みたいなヤツで、でもどこか人を惹き付ける。

貼りつけた仮面の、その裏側を見てみたかった。


それが恋情になったのはいつだったか。





「ユーウっ!!どうさうまくいってる?」
「お前か……余計なことしやがって…」

相変わらずウザイほど明るい笑顔にため息をつく。
ラビとは家が近所で昔からのつきあいだ。学校ではクラスが違うためあまりつるむことはないが。

聡いラビは俺の変化にいち早く気づいた。それからというもの、何かとその事について触れようとしてきた。今回のことも大方ラビが何かふっかけたのだろう。

アイツが何かとかまってくるようになって、正直嬉しかった。だけどアイツの目を見てその喜びが幻だったと気づいた。


あんな風にそばにいてほしいわけじゃない。あんななにも見てないような目で、俺を見ているふりをしてほしくない。



近くて遠い、アイツの心。







『お前は本気で誰かを好きになることがあるのか?』
あの日からずっと僕の耳についてまわる言葉。

本気って何?恋愛なんてただの遊びなんだ。本気にする方が馬鹿なんだ。


そう思ってたはずなのに。


本気で人を愛せる彼がうらやましい。真っ直ぐな気持ちを向けられる彼の想い人が妬ましい。


僕が自分で積み上げた最強の堤防が音をたてて崩されて、溺れた僕は息ができない。



苦しい。苦しいよ。





君と出会わなければ、こんな気持ち知らずにすんだのに。

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