背徳の華 | ナノ



戯言

■ ■ ■


自分の頭ひとつ分は下、
小柄というより華奢すぎる彼は、
"ボンゴレの華"と呼ばれるー20歳の『美少年』だった。



「…それは、本当?」
「さあ、どうだろうね?」
はぐらかすように微笑んで、狡くごまかす彼の頬を、雲雀はただ引き寄せる。
成人などにはとても見えない、まだ少年と呼んでも差し支えなさそうなその細い首筋にー鮮やかな印を残す。
噛み付いたその箇所に、くっきり浮かぶ淡い証。

「…痕、付けないでって言わなかった?」
「知らない」
「…もう」

困った奴、
小さく漏れた呟きごと、その唇を塞いでしまう。
そうすればーきっと。
ユラユラ揺らめくその瞳ごと、彼の全てを支配できるような、
そんな気がして。

「…沙良」
「なあに」
「…愛しているよ」
「そう」

気紛れにするりと目を細めて、彼はにこりと首をかたむけた。
そんなわずかな所作ひとつにも、たまらなく愛おしさを感じる。欲しいと思う。
もっと、
もっと。
自分だけをーどうか。


「……雲雀?」
「沙良」

散らばるシーツ、床に転がったランプ、
シャツ1枚をはおっただけで、膝下まで隠れる肢体、
ーああ、そう。きっと。


「……僕以外の、誰にも、」
呟きは、言葉にならない。
ただ、小柄な彼の唇へ自身の唇を押し当ててー雲雀は静かに目を閉じた。








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