Blood&Tears | ナノ
Too late
コンコン。
意を決してノックしたのに、返ってきたのは無音だった。

「…?」

首をかしげた自分の背後、気配とともに声が掛けられる。
「瑠久さん、委員長に用ですか?」
「あ、草壁さん」
振り返り、瑠久はこくんとうなずく。
「そうなんだけど…恭弥は?」
「委員長でしたら、今日は朝からお見えになっていませんよ」
告げられた言葉に、え、と声が出た。
「…今朝から?」
「はい」

何か大切なご用事があるということで、
付け加えられた草壁の言葉は、ろくに頭に入らず足が勝手に動き出した。

「え、瑠久さん?!」
「ごめん草壁さん!!」

駆け抜けざまに、そう叫ぶのが精いっぱいだった。
嫌な胸騒ぎに、こめかみから汗がつうっと落ちる。




『…瑠久……』

呆然とさまよう、黒い瞳孔。

『きょう、や…』
『ごめん…なんで、こんなこと…』

どうして。


混乱と動揺に満ちた目が、揺らぐ。
ぐらぐらと、ゆらゆらと。





恭弥。
今、どこにいるの。





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