断罪なんて要らない | ナノ
最愛だと言って、言わせて


「……ルキア、」
「…ね、う、…ま…」


静かな、
暗い、
広い、
部屋の片隅で。


「…なんで、」
「…よ、…」


ディーノは白銀の少年の上に跨り、
その白い首に手を掛けていた。


「…ルキア、どうして」
「…きこ、ない、はね、うま…」

ルキアは、
笑う。
その綺麗な瞳に、
なみなみと歓喜の色を浮かべて。
ああそうだよな、
ディーノは唇を噛み締める。
お前は、
おまえは、
この瞬間をずっと待っていたんだろうから。


『ルキア、好きだ』
『跳ね馬、あんたの好きと俺の好きは、多分全然違うよ』


ルキアはうっすらと笑ってそう言った。
俺の言葉なんて聞きもしなかった。


…でも俺は、
そんなこと知っていたんだ。


「…ルキア、お前が普通の愛情に飢えていたんなら、」
「…っ、あ…」
ルキアの体から力が抜ける。
生理的に反抗を見せていた手も、首を絞めるディーノの腕をなぞり力無く落ちていく。
瞳から零れ落ちた一筋の涙は、
それはそれは綺麗で哀しくて惨めで淫らで。
「……俺が満足させてやれたのに」
首筋に、顔を埋める。
唇を耳に沈め泣き言のように囁けば、
もう意識の無くなったとばかり思っていたルキアの手が、こちらの首元をなぞった。
顔を上げる。
すぐ側、どうしようもなく執着を覚えた愛しい少年の顔は、
ひどく満足しているように笑んでいた。
「…ディ、ノ」
掠れた声が、
冷たく細い指先が、
「…愛してる」
いびつに歪んだ愛情の結果が、

「……ッ!」

俺に深く突き刺さる。




震える手を離す。
ごめん、ルキア。
でも、やっぱり、駄目だ、だって俺は。

普通の愛し方でしか、お前を愛せないから。




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