I want to bite you to death! | ナノ
Happy Valentine's Day!(獄寺隼人の場合)
・獄寺隼人の場合



「獄寺、コレやる」
ヒョイ、と空を切る小さな包み。
「…は?っておま、投げんなよ!」
咄嗟にキャッチした獄寺は目をつりあげた。対する雛香は肩をすくめる。
「どーせ優秀な反射神経してんだから良いだろ」
「意味わかんねえよ。で、これなんだ」
途端、呆れた目がこちらを見た。
「…あんだけ女子に追いかけ回されといて今日が何の日かも忘れたのか?」
「……は」
くっ、と口角を上げる雛香。
「チョコ。しかも俺の手作り。有難く受け取れよ」
「…いや、おい待てよ。おかしいだろーが」
「は?何が?」
「…いや、男同士でチョコって…しかもこれだとまるでてめーが俺の事を…」
「…??」
語尾が消えていく獄寺の声に、雛香は眉をひそめて首を小さく傾けた。
「…いや、なんでもねえよ…」
力無く首を振る獄寺に、ますます首をかしげる雛香。
「雛乃に作ったんだんだが余ったんだよ。あげたいような女子なんてあいにくいないからな、だったらお前とかツナとかにと思ったんだが…やっぱいらないか」
「…あー、なるほど、って、お前雛乃に作ったのかよ…」
獄寺の問い掛けに、雛香は当然とばかりに大きく頷いた。
「当たり前だろ。雛乃は甘いモノ大好きだし」
「…あーそうですか、期待した俺が阿呆でしたよ」
「…?期待?」
「なんでもねーよ」
「別にいらないなら返してくれればいい」
「…しょうがねえから貰ってやるよ、腐らせたらもったいないだろーが」
フン、と鼻を鳴らす獄寺に、
「…チョコはよっぽど腐らないと思うんだが」
「揚げ足取るんじゃねーよ!」





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