03

「おっ、明人や」
「よっ、来たぜ」


お店に入るとカウンターに私と同い年ぐらいの男の子が座っていた。その子は金髪でサラサラそうな髪だった。…どこかで見たことがあるような気がする。どこだっけ?まじまじと彼の顔を見るのは初対面で失礼かもしれないけど、思い出せそうで思い出せないモヤモヤとしたのがあって、どうにか思い出してスッキリしたい私としては申し訳ないが見つめさせてもらった。
かなり整った顔でまだ幼いけど、きっと大人になったら王子様みたいなフェイスで女の人を虜にするんだろうなって感じだ。こんな感じの顔だったら、多分一度見たら忘れないと思うんだけどなぁ。

なんて考えながら彼を見ていたら、少年は後ろにいた私の存在に気付いたらしく、ジッと見つめられた。


「明人の彼女ー?」
「十束より小さいし幼い感じやから、彼女やったらロリコンやな。ロリコン」
「違うわ!妹だ、い・も・う・と!」


私を見つめてた男の子が、ゆるい感じだがにやにやした顔でお兄ちゃんに言った。それに対して、お兄ちゃんと同い年ぐらいの男の人は、私と男の子を見比べて言う。お兄ちゃんは彼らの言葉に全力で否定をした。

うーん…私とお兄ちゃんはよく兄妹だなって言われるぐらい顔が似ているんだけど、何で彼女って思ったのかな?あ、そうだ、考えたら私たち一応夜で危ないからって手を繋いでたんだった。きっとそれが勘違いの原因なんだろう。

兄とそのお友達と思われる男の人の掛け合いを眺めていると、あの金髪の綺麗な顔をした男の子が私に話しかけてきた。


「妹ちゃん、俺は十束多々良です」
「えっと、雨野明良です」
「じゃあ明良ちゃんだね!よろしく!」
「よ、よろしくお願いします…」


手を差し出されたので、私も差し出し握手をした。その瞬間、色々なことが頭の中を駆け巡った。それは、私が夢で見たのと同じ出来事であり、さらにその夢がハッキリと鮮明に頭の中を流れる。脳内を巡るモノに、私は頭が痛くなり、目の前が真っ白から真っ黒に変わって、意識を手離した。

意識を手放す瞬間に見えたのは赤い何かだった。

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