07

お兄ちゃんに着いていくと、そこには美味しそうなご飯が置いてあった。パンにスクランブルエッグ、ベーコン、サラダ、そして牛乳とシンプルだがとても美味しそう。朝はあまり食べる気が起きない私でもお腹が空いてくるような良い匂い。


「おはようさん」
「お、おはようございます」
「顔色もよさそうやなぁ」
「その節はご迷惑おかけしました」


ふわふわ柔らかそうなミルクチョコみたいな髪のお兄さんが、安心したような顔で言うのでホント、迷惑をかけてすみませんでした。
私の席だという場所に座るとお兄ちゃんも横に座って、ミルクチョコのお兄さんも座る。十束君もすでに座っていた。いただきますの言葉と一緒に食べ始める。

あのミルクチョコ色の髪の毛をしたお兄さんに負けず劣らずなふわふわのスクランブルエッグを一口食べる。とてもふわふわで、美味しい。何この美味しさは。美味しすぎてもう食べきってしまった。こんなに美味しいスクランブルエッグ作ったのは誰だろ。


「それ作ったの草薙だぞ」
「く、くさなぎ…?」


お兄ちゃんが唐突に誰かの名前を言う。
しかし、前世で見たことあるといったからといって、名前までは覚えていない。そこまで私の記憶力はよくない。だから、誰のことを言われているかがわからなくて首を傾げる。


「草薙は俺や」
「草薙さん…いつも兄がお世話になってます」
「いやいや、世話になっとんのはこっちの方や」


この人良さそうな人が作ったのか…なんか色々と苦労しそうな雰囲気というかお母さんみたいな雰囲気の人。お兄ちゃんはどちらかというと手のかからないタイプだけど、食べ物に関してはそれなりにうるさい。
そういえば中学校に入った頃ぐらいに調理実習で嫌いな料理を作ったけど、同じ班の人が工夫してくれたおかげで食べれたって言ってた。きっと草薙さんのことだ。現にお兄ちゃんは彼の料理を黙々と食べてる。

とりあえず、ご飯かなり美味しいです。心の中でお母さんと呼ぼうかなと思った。


「頼むからオカンみたいな呼び方はせえへんでな」
「えっ…」
「やっぱお前も草薙のことオカンって思ったよな!」
「まぁお母さんみたいだからね」


心の中を読まれたと思って動揺してしまった。貴方はエスパーか何かですかと思っていたら、お兄ちゃんや十束君の言葉からきっとお母さんみたいだとすでに言われたことがあるんだろう。さっきからソファに座って寝ていた赤い髪の人も頷くぐらいだから世話焼きなのは性格なのかも。

それより、あの赤い人寝てたんじゃなかったんだ。


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