眠りの果てあまりおぼえていない、ははさまのえがおが、みえる。ははさまは、ぼくのあたまをなでたようにかんじる。わらいながら、なにかをいっていたきがしたけど、きこえなかった。ははさまにだきつこうとしたら、ひかって、とりさんになって、どこかにきえてしまった。きえてしまうまえに、とりさんはぼくのまわりをぐるっとまわった。そして、ぼくのほおにくちづけみたいなことをしていなくなってしまった。
おめめををあけたら、ぜんぜん知らない所にいた。ぼくのおへやとはまったくちがうところ。
どうしてここにいるのか分からないけど、母さまがいなくなってしまったのが、かなしくて、おめめからポロポロなみだが出る。それといっしょにこわくてこわくて、分からないきもちになった。
声を上げて泣いたら、おへやの外からだれかが来た。女の人はあわててぼくに近づくけど、それがどうしようもなくこわかった。なんでこわいのかわからないけど、ぼくにはこわくてしかたがなかった。だから近くにあった枕を投げつけた。近くに投げるものがなくなったから、ベッドからおりて、またちがうものを。でも女の人をキズ付けちゃダメだから、やわらかいものを投げた。なんでキズ付けちゃダメかもわからないけど、ダメなものはダメだから気をつけた。
少しすると、むらさき色の長いかみの毛の男の人とうすい灰色のような色のかみの毛の女の人がやって来た。
やっぱり怖いのは変わらないから、あばれたときにおちたクッションを投げたらよけられた。投げるものがもうなくなっちゃって、むらさきの人がゆっくりと近づいてきた。今度はどこかににげようと思ったら、むらさきの人が「もう大丈夫だぞ」って言って笑った。
そのかおにぼくは、なんとなくホッとしたら、目のまえがまっくらになった。
title:カカリア