幼い星シンドリア王国の国王であるシンドバッドは自国の未開の場に来ていた。
この土地をどう使うかを考えながら見て回っていた彼は、少し先に何がが横になっているのが見えた。それは近くにいたジャーファルやマスルールにも見えた。そして、それが何なのか分かる前に、マスルールはそれの元へと走る。
いくら立ち入り禁止と言われていても、忍び込び、王であるシンドバッドの命を狙う者が置いていったものかもしれない。だから安全確認のために彼は先に近付いたのだった。
「マスルール?」
「子供っす」
横たわっていた何かを持ち上げたマスルールにジャーファルが尋ねると、それを彼らへ見せた。そう、マスルールが持ち上げたモノ、すなわち横たわっていたのは子供だった。
何故、子供がこのような場所にいたのかがわからない彼らは顔を見合わせた。しかし、シンドバッドは、マスルールが抱いている子供をよく見ると明らかに顔色が悪いのに気付いた。この国の気候は暑いのだ。そんなところにもしずっと倒れていたのなら、顔色が悪いのも倒れていたのもわかる。きっと暑さに負けたか水分が足りずに意識を失った可能性が高い。
「とりあえず、この子供を連れて帰るぞ!」
「ちょっ、シン!?」
「明らかに顔色が悪い上に凄く熱い。ジャーファルだって、こんな小さな子供を放置できないだろ?」
そう言って、シンドバッドはマスルールから子供を渡してもらい、王宮へと戻る道を進んだ。それを見たジャーファルは、何を言っても無駄だというのを悟り、彼の後をついていった。
title:カカリア