ぼくはきれいにわらっている
ジャーファルside
カナンがこの国に来てから数日経った。彼は日が経つにつれて、段々自分の置かれている環境に慣れていくのが、よく分かる。
最初の内は、まだ多少警戒しているのか周りをキョロキョロ伺いながら過ごしていた。しかし、今はキョロキョロとしていても、好奇心でそうしているのが雰囲気で察することができる。この間も冒険といって王宮の中をうろうろして楽しそうにしていたのを見かけた。私との勉強も楽しそうに色んなことを吸収していく。


「ジャーファルお兄さんだ!」
「どうかしましたか?」


シンの執務室からの途中で見かけたカナンは私に気が付くと、パタパタとこちらに近付いてきた。彼は侍女から貰ったのか、いくつかの果実を小さな体で抱えている。ここの人間は彼の可愛さと素直さに癒されてこうして、食べ物を与えている。餌付けですね。それを全部食べたらその後の昼食や夕食が食べれないのがちゃんとわかっているカナンは、誰かに分けたり、別の日に食べている。


「これからマスルールお兄さんとこれ食べるの」


楽しそうな顔で、彼は持っていた果実を見せてくれた。そして私にも一つあげると渡してくれた。それより私は、子供が苦手だといつか言っていたマスルールが、小さな子供であるカナンと仲が良いことに驚いた。しかし、この子供の人懐っこさを考えると分からなくもない。
私にマスルールとのことを一生懸命話す彼を、マスルールが気になって迎えに来るまで話は続いた。

言っときますが、そんなに一生懸命話されるマスルールが羨ましいとは思ってませんからね。

title:カカリア


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