小鳥が飛んだ理由
シンドバッド視点
カナンちゃん改め、カナンくんがジャーファルに言った「お姉さん」発言が未だに俺の中で響いている。確かにジャーファルは女顔だろう。子供から見たら、女性に見えたのはきっと仕方がないことだ。それにこの場にいる者は皆、あの子が女の子だとばかり思っていたからお互い様だ。実際俺も彼のことを少女と思っていたからな。
それでも、ジャーファルが女だと間違えられたことがおかしくて笑ったらものすごい勢いで睨まれた。これはあとで執務を何が何でも終わらせるまでは外に出れないかもな。

至急用意された男物の服を身につけた彼は、慣れない服だからかそわそわしていた。そんな姿が小動物のようで愛らしい。


「あ、あの……し、シンドバッドお兄さん…」
「ん?」
「えっと…服とここに住めるようにしてくれて、ありがとうございます…」


透き通った目で見つめられながら言われた言葉に、小さい子にしてはしっかりしていると思った。いや、知らない場にいるから本能的にそう、しざるおえないのかもしれないな。

とりあえず、この小さな小さな子供を抱き締めよう。そして、少しでも安心させてあげよう。





病み上がりもあり、体力もあまりないカナンくんは目まぐるしい状況の変化に疲れたみたいなので、部屋で休ませることになった。眠ったのを見届けて、部屋から出る。


「子供は可愛いな」
「何ですか急に。子供が可愛いのはわかりますが、貴方が言いたいのは子供というより彼なんでは?」
「そうかもな」


そして、少し後ろを歩くジャーファルに小さい声で言った。それに頷く彼を見て、俺はまだ太陽が輝く空を仰いだ。





「あの子があそこにいた原因を調べておいてくれ」

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