小鳥の住まう籠
ジャーファル視点
「というわけで、この子は今日からここで暮らすことになった!」


なんて、我が王であるシンドバッド王が満面の笑みで言うものだから、思わず手が出た。何が“というわけで”ですか!子供だって、何を仕出かすかわからないというのに……まぁ、昨日の出来事を考えると、この幼子は間者ではない。いつもなら、まだ疑うのですが、何故かそうだと確信した。

ここ、王宮に連れて帰ってきた幼子は目の前にいる王の足元でこちらをちらちら伺っていた。シンの足元の布をきゅうっと握るその姿はなんともいえない愛らしさをもつ幼子は庇護欲をそそられるような可愛らしい子。そんな子を怖がらせないように、目線を合わせるためしゃがむ。


「初めまして。私はジャーファルと言います」
「…カナン、です…」


安心させるように笑いかけると、シンの足元からこちらに出てきて、少し怯えながらも答えてくれた。怯えているとはいえ、これぐらいの子供はここまでおとなしいものなんでしょうか。正直あまり普通の子供というものをあまり知らない私としては一概にこれと言えないのでわかりませんが。


「良い名前ですね」
「…あ、ありがとう…」


名前を褒めると恥ずかしそうに俯く。多分、見た目から女の子ですね。とりあえず、いつまでも同じ服を着せとくわけにはいきませんから、服の用意をさせて着替えさせましょう。

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