わがまま、ください。 | ナノ





(※「6月生まれの君へ」より先に読むといいかもしれません)









柳「竜崎。」

桜乃「へ? あ! 柳さん!」

柳「立海に来ていたのか。差し詰め竜崎先生の付き添いというところか。」

桜乃「はい! 今日はこれからおばあちゃんの家に行くことになってたので、立海にちょうど用があったみたいです。」

柳「なる程。次の練習試合の件かもしれないな。」

桜乃「青学と立海で練習試合するんですよね?」

柳「あぁ、そうなるだろう。」

桜乃「全国以来の対戦、楽しみですね!」

柳「あぁ。さらに青学のデータを更新することになるだろう。楽しみだ。」

桜乃「ふふ…」

柳「コートは見ていかないのか?」

桜乃「あ、お邪魔になっちゃうかなと思って…」

柳「前にも言ったがそう気にしなくていい。立海の練習風景を見ることはテニスをやるお前には肥やしになると思うが。」

桜乃「もっもちろんです!! む、むしろこんな初心者の私に練習風景を見学させて下さる事が夢みたいな話で…」

柳「初心者などという事は関係ない。お前の人柄とテニスに対する純粋な情熱が俺達立海を動かしたんだ。気負わずにいつでも見学に来るといい。」

桜乃「はわわ…そ、 そんな…。皆さんが優しくして下さるからです…あの、でも、ありがとうございます…。そう言って下さって凄く嬉しいです…!」

柳「フッ。当然の事を言ったまでだ。俺…達はお前を気に入っている。だからいつでも来てくれ。歓迎する。」

桜乃「は、はい…! …私には…勿体ない言葉だらけです…えへへ…テニス、もっともっと頑張りますね!!」

柳「あぁ。お前の成長が今後も楽しみだ。」

桜乃「えへへ…」

柳「竜崎先生もまだ時間もかかるだろうし、今から一緒にコー………」

桜乃「…? …柳さん…?」

柳「…す、すまない、竜崎。自分から誘っておいてなんだが今はコートには近寄らない方がいいだろう。…俺とした事がお前に会ったことで先程の光景を一瞬失念していた。」

桜乃「え、えと…? 何かあったんですか…?」

柳「いや、丸井と赤也がちょっとした言い争いで…」

桜乃「えっ!? けっけんかですか!?」

柳「いや、お前が想像したであろう力を駆使した争いではない…いや、逆にその方が今よりずっとましのようにも思えるな…。」

桜乃「え、えと…?」

柳「ふむ。あまり俺も口に出したくないがここまで言っておいて事情を話さないというのも難儀だろう。実は…」










桜乃「焼き肉かケーキバイキングか…。」

柳「たまにレギュラー全員で食事をとりにいくのだが、今日がちょうどその日でな。毎回多数決で何を食べに行くか決めるんだが前回もその前も焼き肉だったので、丸井が今回こそは甘いものをという要望を昨日提案してきてな。
俺達も甘いものはさすがにと思ったんだが、ケーキバイキングだけでなく、他にも色々なものが食べられるらしいということで了承したのだが…赤也がどうしても折れなくてな…」

桜乃「あ…そこ、お肉が出ないんですね?」

柳「その通りだ。」

桜乃「な、なるほど…それは大変ですね…」

柳「柳生やジャッカルがなんとか話をまとめようとしているんだがどちらも譲る気が全くないので結局話は進まず防戦一方でな。さすがにほとほと参ってしまって…部活動の会議に出てている精市と弦一郎が終わった頃かと思い呼びに行こうとして、ちょうどお前に会ったという訳だ。」

桜乃「そ、そうだったんですね…あわわ…」

柳「全く、立海の名が泣く…。こんな所を他校のテニス部が知ったらと思うと恐ろしいな。」

桜乃「ふふふ…でも、丸井さんと切原さんらしいですね…ふふ…なんだか可愛いらしいです…」

柳「…可愛…? …理解に苦しむ発言だな…。俺はただ、駄々をこねて我が儘を通そうとする姿にしか見えないが…」

桜乃「ふふふ…。…我が儘。そっか、我が儘…ふふ…そっか。」

柳「ん?」

桜乃「あ、いえ、柳さんは我が儘なんて言わなそうだなあて思って。」

柳「俺が?」

桜乃「はい。柳さんは優しいですからきっと思っていても自分の気持ちにセーブをかけてしまうのかなって…。」

柳「…。」

桜乃「でも、我が儘言って、甘えたりしている柳さんも見てみたいです!…ふふふ。」 

柳「…俺の?」

桜乃「はい! …て、あ、す、すいません! 変な事言って! 柳さんはそんなことしませんよね…」

柳「…我が儘言って、甘える…。」

桜乃「あっ、あの! ごめんなさい! 不快な思いをさせてしまいましたよね! す、すみませ」

柳「竜崎。」

桜乃「はっはいぃ!!」

柳「…して、いいのか?」

桜「へ?」

柳「…お前に、我が儘、言っても…いいのか?」

桜乃「へっ…? …あっ! は、はい!! わっ、私に出来ることなら!! きっ、聞きますよ!!! どんどん言って下さい!!!!」

柳「…そうか。」

桜乃「はっはい!!!! どーんと!! 気にせず!!!!」

柳「フッ。…では、早速…いいだろか?」

桜乃「もちろんです!!!! どうぞ!!!!」

柳「…頭を…撫でさせて欲しい…。」

桜乃「…へ? …へっ!? あっはいっ!! どっどうぞ!!!!」

柳「…うん……。」

桜乃「………えとっ…はっ!!!! これは!!!! 別に全然我が儘じゃないですよ!?!? そっそれにっ頭を撫でられるのはただ私が嬉しいだけでっっ全然我が儘じゃっ!!!!」

柳「…お前は俺に頭を撫でられるのは…嫌…じゃ…ないのか…?」

桜乃「もっもちろんです!!!! あのっえとっやっ柳さんに撫でられるの凄く気持ちいですし!!!! 優しくってなんだか…
(って、ふぇえええ!?何言ってるの私!?!?)」

柳「そっ……そう、か……。」

竜崎「はっはいっ……。」

柳「……その…これから…は…こうして許可をとらなくても……その……こうしても……いいだろうか…?」

桜乃「えっ!? はっはい!! …えっえと、あっあの、やっ、柳さんが触りたいときにいつでも…!! ど、どうぞ!!」

柳「え……くくっ…いつでもか…フフッ…ありがとう…な…。」

桜乃「はっはい!」

柳「フッ……顔、真っ赤だな…。」

桜乃「はっはわっ…」

柳「……耳も、真っ赤、だ。」

桜乃「ふぇっ!?…っ…んっ!」

柳「っ!」

桜乃「あ、あの…や、や…やなぎさ…」

柳「…耳。弱いのか…」

桜乃「えっ!? ひゃぁっ! あっ…あぅ…あ…んっ…!」

柳「……っ。…俺、は、自分が思っている以上に…我が儘…だったようだな…」

桜乃「え…?」

柳「……、俺は…」









幸村「あれ?蓮二ー!」

柳「フッ……時間…切れ…か。」

桜乃「っ、やな」




幸村「あれ、誰かと一緒にいるみたいだね。ん?あれは…」

真田「む。竜崎だな」

幸村「ほんとだ、竜崎さんだ。こんにちは。久しぶりだね」

桜乃「あっ! 幸村さん! こ、こんにちは!」

幸村「ん? 顔が赤いようだけど…? なにか…」

桜乃「いいいいいえ!!!!! なにも!!!! なにもだいじょうぶでふ!!!!」

幸村「…そう?」

真田「立海に来ていたのか。」

桜乃「あっ、は、はい! おばあちゃんの付き添いで!」

幸村「竜崎先生? あぁ、やっぱりあれ竜崎先生だったんだ。職員室を通ったときに後ろ姿をみた気がしてね。うちの監督と打合せかな。でもまさか君も立海に来ていたなんて。ふふ。会えて嬉しいよ。」

桜乃「わっわたしも! お会いできて嬉しいです!」

真田「ふむ。ところで、どうして蓮二と竜崎が? 蓮二、あの件はどうなった?」

柳「あぁ。俺の手にはとても負えそうになくてな。その事でお前と精市を呼びに行こうとしたところで、ちょうど竜崎に会ったんだ。」

幸村「予想はだいたいつくな…もしかしなくとも赤也とブン太の食の張り合いかな…。」

柳「さすがは精市だ。全く持ってその通りだ。」

真田「またそんなくだらん事で言い争っているのか!! 全く、たるんどる!!」

幸村「ふふ。まぁ、赤也とブン太らしいけどね。けど、少しお灸を据えなきゃね…」

柳「うむ。助かる。」

桜乃「あ…はは…。」

幸村「竜崎さんもコートにおいでよ。竜崎先生もう少しかかると思うから。皆も君が来てくれたら喜ぶ。なぁ、真田。」

真田「あ、あぁ…」

桜乃「あ、ありがとうございます…!えと…それじゃあ、お言葉に甘えて少しだけ顔出させて頂きますね…。」

幸村「嬉しいよ。さぁ、どんなお灸を据えようかなあ」

真田「全く、手間をかけさせる奴らだ」






桜乃「…あ、あの…柳さん…」

柳「ん?」

桜乃「さっき、幸村さんたちがくる前に何か言い掛けましたか…?」

柳「あぁ…そうだな…。フッ…いつか、話す時が来るだろう。今はまだ、このままで…。」

桜乃「柳さん…?」

柳「…いや、なんでもない。では、竜崎。行こうか。」

桜乃「は、はいっ!」














********
























幸村「蓮二」

柳「ん?」

幸村「竜崎さんと何かあったの?明らかに様子が変だったけど…」

柳「いや、何もない。ただ、少し話をしていてな。」

幸村「ふーん…。話をしてるだけであんなに顔が赤くなるものかなあ。…まさかとは思うけど、竜崎さんに何かしたんじゃないよね?」

柳「…したと言えば、したが、していないと言えば、していない。」

幸村「…どうゆう意味だい?」

柳「フッ…。なにも無いよ。した、のは話だけだ。お前が思っているような事はしていない、という事だ。」

幸村「…なんだか上手く言い逃れてるような気がするけど…。」

柳「…まぁ、思い知っただけだよ。」

幸村「ん?」

柳「俺はブン太や赤也と変わらず、『我が儘』だったってことがな。」

幸村「なんだい、それ?」

柳「そのままの意味だ。俺も、まだまだだ、という事だ。」

幸村「…? うーん…。…はあ。降参。 全く、蓮二は隠すのが上手いからなあ。諦めるよ。」

柳「フッ…そうして貰えると助かるな。」

幸村「ふふ…でも、蓮二の我が儘か。聞いてみたいな…。」

柳「そうか?」

幸村「あぁ。…蓮二や真田には人一倍、苦労をかけたからね。俺がいない間も、立海を、そして副部長である真田を支えてくれた。赤也の赤目の事も本当に助かっている。他レギュラーたちや立海テニス部の体調管理も…。ほんと、蓮二には沢山苦労をかけてるね。…本当にありがとう。」

柳「…改めて言われると、なんだか気恥ずかしいな…」

幸村「そうかい? ふふ…いつも思っているよ。特に蓮二は理性的だからね。溜まってるものも多いんじゃないか? 俺でよければ、我が儘、いつでも聞くよ。」

柳「フッ…ありがとう…。だが、理性的か…。確かに、自信、あったんだがな…。全く…竜崎と出会ってから、予測出来ない事が多すぎる…。」

幸村「…やっぱり、竜崎さんと何かあったんだね…。」

柳「…。 黙秘だ…。」

幸村「駄目。」

柳「我が儘、聞いてくれるんじゃないのか?」

幸村「竜崎さんに関しては一切適用しないよ。」

柳「…全く、言ってることが滅茶苦茶だな…。精市も充分、我が儘だ。」

幸村「ふふ…俺は我が儘だよ? 知ってたろ?」

柳「あぁ、フッ…そうだったな。」

幸村「ふふ…なぁ、蓮二。高等部へ行っても、俺達、三強として君臨し、切磋琢磨しあおう。…次こそ、全国制覇を成し遂げる為に。」

柳「無論だ。…それに、お前ら2人の仲裁をいれられるのは俺しかいないだろう?」

幸村「ははっ! 言えてる。」

柳「フッ…これからも、宜しく頼むぞ。『幸村部長。』」


幸村「あぁ。勿論だ、『柳参謀。』


…それと、恋のライバルとしても、ね…」

柳「! フッ…。望む所だ。」

幸村「ふふ…。それにしても、油断も隙もないなあ。よおし、蓮二にもお灸をすえなきゃなあ。」

柳「それは…困るな…」








+++
随分前にわがままをテーマに書いて放置していた小話に色々手を加えました。
柳さんってあんまり我が儘とか言わなそうだな〜とか。甘えたりも、苦手だろうな〜とか。思っていたので桜乃ちゃんにお願いしてみました。
(個人的に柳さんは心を開いた相手…。恋人とかには結構甘えると思うんだ…嫉妬とかさ…結構すると思うぜ…へへ…たまんねぇな…じゅるじゅる)
全然我儘じゃないんだけど、柳にとって好きな人に触れるとゆうのはそれ位悩んでしまうような気がします。色々人より気がつくから色々敏感でしょうしね…。
柳桜ちゃんの続きに幸村部長と柳参謀の小話もちょこっと…
私、本当に立海三強が好きで好きで好きで…。気付けば幸村と柳の会話も書き込んでました。(※真田はブン太と赤也を叱っています)
柳と幸村は穏やかに話しそうです…怖い話も…(笑)
これで真田が入ったら真田からかいモードにシフトするんですねほんとわいいなお前らなんなんだよ。

三強だけのお話もいつか書きたいくらい…あぁ、でも桜乃ちゃんもいれたくなる…(結局)
三強桜が自分の中で最強過ぎて…。
書くのほんと楽しかったです…げへへ。
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