今日くらい
私の彼氏は口が悪くて、元ヤンで、目つきも悪くて、ついでに言えば顔の出来もあまりよろしくなくて
でも本当は口が悪いのは照れ隠しで、優しくて、面倒見がよくて、人の事よく見てて、何かあった時にはすぐ気づいてくれて。
幼い頃から傍にいて靖友の優しさが当たりのようになっていたから今日ぐらいは私が彼に尽くすべきだと思って彼に会いに男子寮に向かった。
春休みとはいえ部活があるからと寮に残っている生徒が大半で、いくら皆連れ込んでるからと言って女子禁制の男子寮に堂々と入る訳にはいかない。
幸いにも靖友の部屋は裏口のすぐそばで誰にも会わずに部屋の前までこれた。
「靖友ー」
ノックをして名前を呼べば空いてんヨと返事が返ってきた。
「お邪魔しまーす」
「なまえちゃんいい加減来るとき連絡しろよな
いなかったらどうすんだヨ」
そうだねーなんて適当な返事をしながらいつも通り靖友の横に座った。
「靖友誕生日おめでと」
用意していたプレゼントを渡せば靖友は驚いた顔で一緒固まった。
しかし、すぐハッと我に返りアンガトネェと照れくさそうに受け取る。
開けてもいい?と聞く彼にどうぞーと答えると包装紙を破かないようにそっと開けていた。
きっとこんな姿誰にも想像つかないだろうなー…
「なまえちゃんこれ…」
「こないだみつけたの」
数日前に買い物に行った際に綺麗な空色を見つけた。
靖友の愛車と同じ綺麗な色のタオルだ。
「…あと、ね
これだけじゃどうかと思ったんだけどほかに何も思い浮かばなかったから
今日は靖友のお願い事なんでもしてあげる!
…あんまり高いものとかは無理だけど」
そう言えば細い目が見開かれる。
「…何でもいいのォ?」
「高くなければ!!」
答えるとほぼ同時にふわりとした感覚。
そのままベッドに下ろされた。
目の前には少し赤くなった靖友の顔があってその奥に天井が見えたことで組み敷かれたことを理解する。
「靖友まって」
近づく彼の顔を手で止めようとすればすぐに掴まれてなんでもいいんだろと言われ唇が重なった。
「何でもって言ったのはなまえちゃんだからなァ」
「言ったけど…ん、ぅ」
その先の言葉を飲み込むように深く口付けられる。
…そんなつもりで言ったんじゃないんだけどなー
靖友がそうしたいならまぁいいか、ここまで想像しなかった私が馬鹿だったなーなんて思いながら彼のキスとその先の行為に応えるしか私にはできなかった。