遅刻
「やばいっ!遅刻する!!!」
急いで走りながら時計をみると、あと5分で予鈴。
やばい。
確実に間に合わない。
「〜ーーーーーーーーっ!
なんでよりによって今日寝坊すんのよ私!!」
〜遅刻〜
“せめて昨日か明日だったら”
何度も脳裏を駆け巡るこの言葉。
だって今日は“風紀委員が校門前で風紀違反+遅刻者のチェックをしている日”だから。
しかも、やっとみえたと思った我が校門の前には並盛中ーーーーいや、並盛町最強と思われる人物が1人。
「…ヒ、ヒバリさん…」
「ワオ、今頃登校かい?君」
さーっと恐怖で顔が青ざめるのを楽しそうに見つめ、生徒手帳だしてと手を出す雲雀。
急いで手渡すと、こっちをみもせずに問われる。
「ねぇ、君」
「は、はい?」
「名前は?」
「え、えっとーーーーみょうじなまえです…」
名前を聞かれたことに驚くが、すぐに答えないと咬み殺されそうなので普通に答える。
「…ふぅん。みょうじなまえ、ね。覚えておくよ。」
はい、と手渡された生徒手帳を受け取り、
「し、失礼します!」
と言いダッシュする。
後ろ姿を見ながら雲雀はにぃっと笑いながら低く呟いた。
「逃げてもムダだよ。
…すぐに僕のものにしてあげる」
僕は君の恐怖に歪む顔に惚れたんだ。
だから必ず僕に惚れさせてみせる。
優しくなんかしないから。
…覚悟しといて?
-END-