悲しみのその先に






―こんなにも貴方が大切だって、貴方がいなくなって初めて気付いた……――







〜悲しみのその先に〜




「―――――」

「――――」


黒く黒く深い闇の中に私は今、居る。


きっとこれは嘘なんだ…。また、笑って帰って来る…
…そうでしょ?…ツナ



「なまえさん。」
隼人に声をかけられ、泣きすぎて腫れぼったい顔を上げる。


――そう、今まで巨大マフィアボンゴレの10代目ボス、沢田綱吉の葬儀が行われていたのだ。

なまえは綱吉の妻だった。彼の仕事は知っていた。いつか…他の人よりも近い未来、永遠の別れが来ることも。
覚悟はしていた…つもりだった。




「――――……“安心して。俺はちゃんと此処に戻って来るから。”…」

「なまえ…さん?」

「ツナはそう言って家を出たわ…」

「………………」

隼人は、何も言えなかった…その次に続く言葉が…なまえが何を言いたいのか分かってしまったから…


「帰って来るよね…?ツナ、帰って来るよねぇ…?」

「…………っ」

みるみる潤んでいくなまえの瞳。生きてるって、帰って来るって言ってもらいたくて隼人に詰め寄る。…が、隼人は何も言わずに余計辛そうな顔になるだけだった。


「帰って来るって言ってよぅ…っツナぁ…ふ……うぁああぁあん…っ」

声をあげて泣き出すなまえに守護者達は集まって来る。

すると一人の男からなまえの望んだ言葉が返ってきた。

「綱吉は帰って来るよ?」

「!きょー……や…?」

「綱吉が君にって」

渡されたのは、一通の手紙
開けて見れば見覚えのある、綱吉の字。



―なまえへ

君がこれを読んでるってことは俺はもう表向きには死んだってことになってるね。
雲雀さんに頼んだんだ。なまえは絶対泣くから…
ごめんね?何も言わないで…
まぁ、今も言えないんだけどね。
でも、すべてが終わって、また君に逢えたらその時はすべてを話すから…
だから、待ってて。泣かないで…ね?
約束だよ…

綱吉


「表…向きには…?」


「綱吉が最後まで心配してたのは、なまえ―。君のことだよ。」

誰にも真実を知られないようにと、場所を変え、手紙を読んだ。
読み終わり、疑問を呟いたと同時に言われた言葉――


「わた…し?」

「そう。僕は反対だったんだけどね。
君が絶対泣くからって。『なまえには本当のことを言う』―って綱吉が譲らなくてね」

“本当のこと”…それって――――――


「―――ツナ…生きてる…の?」

雲雀は微笑み、なまえの頭をそっと撫でた

言葉で生きてると言われなかったが、雲雀の行動一つですべてが分かった気がした。


“また逢える”
そう、信じていれば頑張れる。


「…ありがとう‥。
私…頑張るよ。」


泣かないで、君の好きな笑顔で待っていよう。
そうすれば、きっと君に逢えるから…。




悲しい別れの先には
嬉しい再会がある―――



そう、信じて……






―END―














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