ねつ




―――ヒロイン一生の不覚………











――風邪をひきました…






〜ねつ〜



「だるい――…」

談話室で机に突っ伏して言うヒロイン。

「ヒロイン顔赤いよ?熱あるんじゃない?」

その向かい側に座るリナリーが、心配そうにヒロインの顔を覗き込みながら言う。


「う゛――…かもしんない……」



思えば入団してから熱どころか風邪を引いたこともない。


「珍しいねーヒロインが風邪引くなんて……」


「私もそー思う………」


「本当大丈夫?医療班の人呼んで来る??」

相変わらず突っ伏したままのヒロインにリナリーは言う、が


「いい。めーわくかけたくないもん……」


と嫌がる。


どうしようかと悩むリナリーだったが、暫くするといい案が浮かんだようで…
満面の笑みで、「ちょっと待ってて」と告げると談話室を出ていった――――――。

「――――ヒロイン?おい、大丈夫か!?」



「ん…ユ、ウ……?」


気が付くと、ユウが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

眠ってしまってたようで、重い瞼を擦りながら顔を上げるヒロイン。

「リナリーに聞いた。お前、具合悪いんだってな。」

「うん…だるくて…。たぶんだけど…熱、あると思う……」

「…動けるか?」

力無く頭を横に振るヒロイン。

「チッ……」

神田は軽く舌打ちすると、軽々とヒロインを抱き上げた。

「ユ…っ!?」

「部屋、戻んぞ」


「う…ん……///」

真っ赤になるヒロインに構わず、神田はヒロインの自室に向かった――













―――ガチャ…



部屋に着いて神田はヒロインをベッドに寝かせ、水と薬を差し出す


「ほら、飲めよ」


「…やだ…薬キライ…」

やだやだと首を振るヒロイン。

「いいから飲め。治るもんも治んねェぞ」

それでも頑なに首を振り続けるヒロイン。


「チッ…仕方ねェな…」

そう呟き、水と薬を口に含む神田。

そしてそっと口付け、ヒロインの口内に薬を移す。

「飲んだか…?」


「……っ///の、飲ん、だ……////」


真っ赤になって恥ずかしそうに言うヒロイン。


「あとは寝てろ。寝るまで傍に居てやるから。」


「うん…」


そう言い、神田はベッドの横に椅子を置いて腰掛け、ヒロインの頭を撫でた。






暫くするとヒロインからは規則的な寝息が聞こえてきた。


「寝たか…」


そう呟きヒロインの額にキスをして、神田はヒロインの部屋から出ていった。

―翌日―


「ヒロイン!もう大丈夫なの?」


「うん。もー元気だよ!心配かけてごめんねっ」


食堂でリナリーに会い、ほらっと見せながら言う。


「なら良かったわ。神田に看病してもらった?」


「うんっ。いつもよりね、ユウが優しかったんだよっっ
私、具合悪くなるの、嫌じゃなくなったもん!」


トレイを持ち、席に向かい合わせに座り楽しそうに話す2人。

「あとで詳しく教えてね?」


「もちろんww」


――その後リナリーの部屋に行き、昨日のことをすべて話した為、翌日には、すべての団員に知れ渡った。

みんなにからかわれ、抜刀しかけた神田にヒロインはお仕置きされたとかされないとか…



-END-











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