ねつ
―――ヒロイン一生の不覚………
――風邪をひきました…
〜ねつ〜
「だるい――…」
談話室で机に突っ伏して言うヒロイン。
「ヒロイン顔赤いよ?熱あるんじゃない?」
その向かい側に座るリナリーが、心配そうにヒロインの顔を覗き込みながら言う。
「う゛――…かもしんない……」
思えば入団してから熱どころか風邪を引いたこともない。
「珍しいねーヒロインが風邪引くなんて……」
「私もそー思う………」
「本当大丈夫?医療班の人呼んで来る??」
相変わらず突っ伏したままのヒロインにリナリーは言う、が
「いい。めーわくかけたくないもん……」
と嫌がる。
どうしようかと悩むリナリーだったが、暫くするといい案が浮かんだようで…
満面の笑みで、「ちょっと待ってて」と告げると談話室を出ていった――――――。
「――――ヒロイン?おい、大丈夫か!?」
「ん…ユ、ウ……?」
気が付くと、ユウが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
眠ってしまってたようで、重い瞼を擦りながら顔を上げるヒロイン。
「リナリーに聞いた。お前、具合悪いんだってな。」
「うん…だるくて…。たぶんだけど…熱、あると思う……」
「…動けるか?」
力無く頭を横に振るヒロイン。
「チッ……」
神田は軽く舌打ちすると、軽々とヒロインを抱き上げた。
「ユ…っ!?」
「部屋、戻んぞ」
「う…ん……///」
真っ赤になるヒロインに構わず、神田はヒロインの自室に向かった――
*
―――ガチャ…
部屋に着いて神田はヒロインをベッドに寝かせ、水と薬を差し出す
「ほら、飲めよ」
「…やだ…薬キライ…」
やだやだと首を振るヒロイン。
「いいから飲め。治るもんも治んねェぞ」
それでも頑なに首を振り続けるヒロイン。
「チッ…仕方ねェな…」
そう呟き、水と薬を口に含む神田。
そしてそっと口付け、ヒロインの口内に薬を移す。
「飲んだか…?」
「……っ///の、飲ん、だ……////」
真っ赤になって恥ずかしそうに言うヒロイン。
「あとは寝てろ。寝るまで傍に居てやるから。」
「うん…」
そう言い、神田はベッドの横に椅子を置いて腰掛け、ヒロインの頭を撫でた。
暫くするとヒロインからは規則的な寝息が聞こえてきた。
「寝たか…」
そう呟きヒロインの額にキスをして、神田はヒロインの部屋から出ていった。
―翌日―
「ヒロイン!もう大丈夫なの?」
「うん。もー元気だよ!心配かけてごめんねっ」
食堂でリナリーに会い、ほらっと見せながら言う。
「なら良かったわ。神田に看病してもらった?」
「うんっ。いつもよりね、ユウが優しかったんだよっっ
私、具合悪くなるの、嫌じゃなくなったもん!」
トレイを持ち、席に向かい合わせに座り楽しそうに話す2人。
「あとで詳しく教えてね?」
「もちろんww」
――その後リナリーの部屋に行き、昨日のことをすべて話した為、翌日には、すべての団員に知れ渡った。
みんなにからかわれ、抜刀しかけた神田にヒロインはお仕置きされたとかされないとか…
-END-