舌が痺れる程のくちづけを





薄暗いネオンに照らされたバーに流れる独特のメロディー。ゆったりとしたその曲調を聞きながらタイガーズ・アイは手に持つカクテルを一気に飲み干し、乱暴にテーブルへと叩き付けた。

「んもう、嫌になっちゃう!あの子僕の事突き放したのよ!」

この僕を!と強く強調する彼はどうやら女口説きに失敗してしまったらしい。ベタな恋愛小説でも読んでいるかのような彼の入りは賞賛に値する程であるが、大体最後は強引になってしまうのが悪いところだった。

「そんなのいつもの事でしょうよ。それで、ペガサスは見つけたんです?」

「また外れ。ふんっ当然よ、僕の魅力が分からないなんて。折角こっちも好きじゃないけど演技上で抱き締めてあげようとしたのに!あの女、許せないわ!」

相当ご立腹なタイガーズ・アイはまた新しいカクテルを出そうとしている。横で聞いていたホークス・アイはその言葉に眉をぴくりと動かした。抱き締める、ですって?ナイフのように鋭さを増したその瞳がタイガーズ・アイを射抜く。そんな視線に気付かない彼の腕を掴んで、きょとんとした瞳に構わずにその艶やかな唇に噛みつくようにキスをした。

「……ッ……んぅ…」

唇を合わせた瞬間に先程までタイガーズ・アイが飲んでいたワインレッドの残り香がホークス・アイの鼻腔を擽った。離れようと抵抗するタイガーズ・アイの筋肉質な身体を封じ込め、激しくキスを繰り返す。後頭部を自分の元へと引き寄せて、酸素を取り込もうと少し開いた唇につるりと舌を滑り込ませた。歯茎をなぞって、逃げ惑う舌を絡め取る。肉厚な舌は火傷してしまいそうな程に熱く、つーと垂れた唾液がやけに官能的にそして生々しく感じられた。

「ッ……な、によいきなり!」

「だって抱き締めた、なんて言われちゃ妬けるに決まってるじゃないですか」

「べ、べつに僕はこんな事させるのはホークス・アイだけで、他の奴だったらとっくに鞭で叩いてるわよ…って……ぁあッ!」

「そんな可愛い事言われちゃ、このままベッドに放り込んじゃいますよ」

タイガーズ・アイは頬が熱く火照るのを感じながら、もっと先を期待するかのように身体の奥がぶるりと震えたのが分かった。







舌が痺れる程のくちづけを




お題Largoさま



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