融和願望
人里離れた林の中。此処には京の町や村とは違い、賑やかな通りもきらびやかな着物を纏う人垣の群れも旅芸人の催しも何もない。辺りを見渡せば覆い繁った草木ばかりで、どっしり構える大岩等がざらにある。そんなところでごろりと寝転ぶ2人組。何処までも続く空を見渡しながらこれからの行動の作戦を練っていた…はずであるが、飽きてしまって今では意味もなく太陽を見上げていた。
「壱丸」
んー?とほんわかした声色で答えた壱丸は眠そうに目を擦った。先程珍しく小十郎が持たせてくれた食べ物を食したばかりである。人間食欲が満たされば眠気が襲ってくるもので、黙りこくる弐虎に壱丸はなんだよーと声を上げた。
「貸してくれ」
「何を」
「けつを」
「何で」
「ヤりたいから」
どうやら食欲が満たされれば性欲が湧き上がるものをいるようだ。
「弐虎、分かってる?」
「ん」
「俺男。お と こ」
断っておくが壱丸も弐虎も付いてるべきものも付いているれっきとした成人男子だ。互いに男の尻に突っ込む趣味は持っていないし、今まで性行を交わしたのは全て女。だが新たな趣味を開拓しなければならぬ程に弐虎の性欲は溜まっていたのだ。
「ああもう分かってるつってんだろ!溜まってんだよ、いいからヤらせろ、一発出して
え」
ちょっと待ってお願いだから1回落ち着いて話し合おう。そう言っている途中で思い切り上に乗られてしまった。壱丸は顔を真っ青にしたまま待って、だの俺は男だから、と訴えかけるが弐虎はそんなの耳に入ってませんというように服の中にするりと手を侵入させた。撫で上げるように臍や脇腹を触って乳首まで到達すると乳頭をぎゅっとつねり上げる。
「ひぅ!」
「胸無いな」
「ったり前だっつの!あと何日かしたら町に出るんだからその時に遊郭にでも行ってこいよ、な?」
「もう限界だっていってんだろ」
豊満とは程遠い平らな胸をぺたぺたと触りながら乳首を弄りまくっていると、いきなり舌を出してぺろりと舐めた。ひゃあっと壱丸は声を上げるが弐虎は無視してぺろぺろと舐めたり吸ったりを繰り返す。ぐちゃぐちゃと頭を掴んで引き離そうとする壱丸の手の力が次第に弱まっていったので、弐虎は不意討ちに甘噛みをしてみた。
「ぁッ…ん!」
「痛いの好きだっけ、お前」
「馬鹿、ち、が…ッ…」
「の割りにしっかり勃たせてんじゃねーか」
「ぁッ…!そ、こは…や、め…!」
股間をまさぐる手を必死に掴んで引き離そうとする。流石にそこに触られるのは抵抗があるし、もう後には戻れなくなるような、言い知れぬ暗雲が壱丸の胸をよぎった。生理的な涙を浮かべながら懇願すると、弐虎はやれやれといった様子で頭をかき、一旦その手を引いた。その顔はまるで見てはいけないものを見てしまったかのような気まずそうな表情が貼り付いていた。
「壱丸お前さあ、まじでかわいいんだよ」
「え、」
「女抱けなくなりそう」
はっと自嘲するように弐虎は笑って、一気に壱丸の下着までもを取り払った。一瞬の間ぽかんとしていた壱丸は下半身を丸裸にされても何が分かったか理解出来ず、気付けば弐虎に己の昂るものを咥えられていた。
「んぅうッ…ぁあ、ん…弐、虎…離し…!」
「ひゃなほった」
「ふぁあッ!しゃ、べんなっ…て…!」
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