奪えないただひとつの音



帽子屋さんって僕の姿が見えない設定なんでしょ?と人当たりの良い笑顔を浮かべ、喧しい鈴の音を鳴らしながら近付いてきた。何時ものように銃口を奴に向けて放つとその辺に置いてあったティーカップの割れる音がした。またアリスにウェッジウッドのティーカップがなんたらかんたらと煩い言葉を並べられんじゃねえか。そんなアリスは今三月ウサギと何処かへふらふら遊びに行ったが。これだから子供はー


「…ッにしやがる!」


帽子屋が割れて溢れる紅茶を見ながらそんな事を考えていると視界が真っ暗になった。


「これで僕の姿は帽子屋さんには移らないでしょ。何時もは姿が見えてるから普通にエッチ出来るけど、ここはちゃあんと設定通りにしてみようと思って」


僕の姿だけ見えなくするのは無理だから目隠しっていう手段を取ったんだよ!そう言うと自らのネクタイで目隠しされた帽子屋をベットに押し倒した。せめてもの抵抗でバタバタと暴れる帽子屋の服を捲り乳首を舐め上げると、びくんっと体が震えた。


「ふっ…!ぁっ…」


「勃ってきたね、帽子屋さんのいやらしい乳首」


「黙れっ…!あっ…外せバカ猫っ…!」


そんな帽子屋の言葉も虚しくインドア派の帽子屋の真っ白な肌を伝いながら手を下へと滑らせる。こんもり盛り上がったズボンをいとも簡単に脱がせた。パンツの中に手を突っ込み帽子屋の自身に触れた。


「なあんでこんなぐちゃぐちゃなの帽子屋さん」


「く…あぁっ…!やめ…ろ…て…っ!」


静止の声も待たずに濡れるペニスを触っていく。先端を弄ると更に愛液が溢れる。


「何時もより感じてる?」


「ぁっ…ん、な…わ…け…っ…ん…!」


「えーそうかなあ」


何時も違う目隠しをされているという状況のためか普段よりも愛液の量が多い。チェシャ猫に指摘されたことは的確だった。


「だってこーんないやらしい音出してるんだよ?」


「ばっ…!ぁああっ…!」


先端を弄る力を強めれば呆気なく精液を出した。ハアハアと胸を上下させて息を整えている間、チェシャ猫は帽子屋から手を離し自らの熱いものを取り出す。


「はあっ…はあっ………バカ猫…?」


視界が見えない分、何にも触られていないと逆に不安になる。きょろきょろと目隠しをしたまま頭を振る帽子屋を可愛いと思いつつ、秘部へと熱いものを宛てた。


「ここにいるよ帽子屋さんっ」


「バッ!おいまさか挿れる気じゃ………ぁああっ!」


「んっ…やっぱり少しキツいねえ」


食らいついてくるような肉壁に眉を寄せて呟いた。帽子屋は達したばかりのせいなのか普段からチェシャ猫と性行為を重ねているせいなのか、後孔に挿れられた痛みは直ぐ様快感へと変わった。


「うぁっ…!く、あぁあっ……も…これ…はず、せっ…!」


「っ、はいはい」


しゅるんとネクタイを目から取ってやると涙で真っ赤になった目がチェシャ猫の瞳を虚ろに捉えた。チェシャ猫はにこりと笑うと腫れた瞼にキスを落とす。


「泣いちゃったの?」


「んぁっ…あぁっ…!だ、まれ…!」


「ふふ可愛い帽子屋さん」


前立腺を狙いながら激しく腰を打ち付ける度に耳障りな鈴の音がチリンチリンと鳴る。この音が聞こえればたとえ視界が真っ暗でもチェシャ猫が側にいることが分かる。帽子屋は熱い杭を打たれながらチェシャ猫の存在をまだクリアでないぼやけた視界で見上げた。


「んあぁああぁっ…!」


「くっ…」


一段と大きく鈴の音を鳴らして2人は勢いよく精を吐き出した。



奪えないただひとつの音




お題Largoさま

拘束帽子屋さんたまらない



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