キョン×ハルヒ←古泉
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「――――アンタ、どうしてこんな時期に転校してきたのよ」
…………最初は、怒られているのかと思った
しばしば安いアイドル、と例えられてしまう、癖になっている笑みと共に、それなりに真剣に自己紹介をして、ざわつく声声と好奇心を含んだ視線を一身に受けながら、指定された席につこうとすれば。
引いた席越し、僕の後ろの席から睨みつけていた、――――あまりにも綺麗すぎる女性。
後に僕はその人の名前を、涼宮ハルヒ、と人づてに聞くのだが、まぁその話は少しばかり置いておいて。
「聞いてるの?」
その怪訝そうな言葉に、ハッとする。僕は眉をしかめるその美しい女性に、咄嗟に笑みを浮かべ。
「そうですね。理由は……まぁ、後ほど」
特に含みもないのに、含みを持たせた口調で、そう言った。
僕自身、どうしてあのときそんな発言をしたのかはよくわからないけれど、恐らく僕は彼女を前に、とてつもなく緊張していたのであろう。
だが、それが涼宮さんの僕への好奇心を駆り立てたのだった。
小さく光った双眸は、僕へのちょっとの好奇心。
その涼宮さんの顔を見たとき、僕は確かに、恋に落ちた。
「――――お前らしいよ」
く、と、片眉をあげ、少し安心したように笑む目前の男。
その言葉に、涼宮さんは満面の笑みを浮かべた。
恋とは、愛とは
決して時を、有利な材料とはしてくれないらしい
横に座る涼宮さんは、僕の知る涼宮さんと、余りにも違いすぎる
だけど、でも
(…………どうしてでしょうね。少し、安心してしまっている自分がいるのです)
まるでそれが必然かのように、すとんとハマる心のピース
後、僕にできることは
(涼宮さんの笑顔を、遠くから見守ること、それだけですね)
クスリと、小さく笑った。
――――時が、戻る。