音無+ゆり+直井
▼ED後捏造、音無がお医者さんシリーズ
(廊下を歩く、音無とゆり)
「はぁ、ゆり……」
「ん?」
「病気でもないのに、毎週毎週病院通いはどうかと思うぞ……?」
「ごめんなさい。だけど、奏ちゃん抜きにプライベートで喋るなんて、もっと有り得ないことじゃない?会うにしても、電話するにしてもね」
「うーん……でも大丈夫じゃないか?あいつなら」
「ふーん……私たちの仲を疑われちゃったりはしないのねぇ……?」
(ニヤリ)
「まぁな。疑う余地もないぐらいに愛してるからさ」
「……ふふ。ご馳走」
「……お粗末様」
(くすくす)
「あ、そういや野田は――」
「…………っ音無さんっっ!!!」
(ギクッ)
「……な、直井?」
「はい!そうです!……あぁ、本当に奇遇ですね、音無さん!こんな広い病院の廊下で、こうもバッタリと出会えるなんて!」
「そうか……?」
「……あのね、そりゃ出会うんじゃないかしら。貴方、一応ここの教育実習生なんでしょ?」
「……一患者は黙っていてくれませんかね。……あぁ音無さん!どうして貴方は、自ら緊急医療チームから外れ、内科へと移動してしまったのですか!……あのメスさばき。いつ見ても惚れ惚れしますのに!貴方の手術ビデオテープを見た時から、僕はずっとずっと貴方の事を敬ってきました!……音無さん!どうか現場に戻ってきて下さい!」
(ずいっ)
「……直井」
「はい!」
「……俺はもう、あそこに戻る気はないよ」
(ぽん)
「お、音無さ――!どうして!」
「そうだな……もっとじっくりと、一人一人の患者さんに向き合ってみたくなったんだ。せっかくそう言ってくれてるのに……ごめんな?」
(ぽんぽん)
「…………っ。それでも、僕は、いつまでも待ってますから……!」
「さんきゅ」
「……ま、なんにせよ、直井くんがちゃんとしたお医者さんになるのが大前提じゃないのかしら?貴方まだ、実習生の身でしょ?」
「……は。ナメないでもらいたい。僕はあの〇大医学部の首席だ。それに手術の面でもかなりの腕を期待されて――あ、もちろん音無さんよりは下ですが、それでも僕は、いずれはこの病院の神となる」
(ばーん!)
「……どこかで聞いたような台詞ね……」
「……あぁ」
「患者なぞ所詮は虫けら。僕ら医者に何をされても文句は言えないんだ。はは、メスを入れるその日がとても楽しみだ……!」
「……直井くんにだけは手術をして貰いたくないわ」
「……あぁ、同感だ」