直井→ゆり



▼直井→ゆり/Angel Beats!>>壊れた直井、すごく捏造










「いやぁああぁああ!!!!!!!!!」


 絶叫し、僕の腕からずり落ちる女。


 ぐしゃぐしゃになった髪を掻き抱くように狂乱するその女は。


 ゆり


 ……だったか。ちょっと違う気もするが。


 随分昔の事。本当に、いつの事だったか、女を取り巻く奴等から、そう呼ばれていた気がする。


 ……でも。


「どうしたの?ほら。僕の目を見てよ。まだまだこんなものじゃないよね?だってまだ、一番下の妹が殺されるところまで見せてないだろ……!」


 へたりこむ女の耳元で囁くようにそう言うと、女は更に甲高い声を上げた。


 ……全く。煩い事極まりない。


「……お前が悪いんだ」


 全部ぜんぶ。


 妹とかやらが死んだのも、この世界に抗っていた奴等が、この目に消されたのも。


 ……全部


「ほら、もっと泣けよ……!」


 この行為に、何の意味があるのだろう。


 その果てに、なにを、生むんだろう。


 そんなの、もう。僕にわかるわけもない。


『――直井くん、』


 黒く塗りつぶされた記憶の片隅。呼ばれた柔らかな声が、聞こえた気がした。




 

 
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