綺麗な高級ドレス


グルメデパートで出会った男、サニー。

カラフルな長い髪の長いまつ毛の男。

「サニーさん…?ひっやっ!?」

「ん、どした?」

サニーの髪の毛から伸びる触覚の様な凄く細い物が身体に触れているのが分かるがサニーは何事も無い顔をしている。

「は…離れて下さい!」

一歩後ろに下がるとそれは離れた。

「お前…分かんの?」

「え…はい。見えないですけど…なんとなく…。」

「へぇ…凄っ…!…それに…髪の艶、肌の健康状態、顔立ちといい全てハイスペックじゃねーか♪」

サニーはアリアに近付くと右手を持ち上げ口付ける。

「……!!??さっ…さ、サニーさん!」

手を引き下げ顔を真っ赤にするアリアにサニーは喜ぶ。

「ちょっとした挨拶だって、そんなに慌てんなって」

「息なりそんな事されたら…驚くじゃないですか!」

「それより、何でこんな所いんの?
買い物?…おっ…料理人じゃねーか♪」

サニーはアリアの懐から髪で包丁を抜き取ると¨美し¨と言って包丁をマジマジと見詰める。

「あ…あの返して下さい!大事な包丁なんです」

「これ…メルク包丁だぞ、スゲーの持ってんな…」

メルク包丁とは世界一の研師メルクが作った包丁。

「これは私の父から貰った大事な包丁なんです。」

「アリアの親父頑張ったな…一般の人間には作らない代物なんだぜ、大事にしろよ」

「そうなんだ…大事にしなきゃ…。」

アリアに包丁を返すとサニーは白いドレスを指差す。

「なぁ、アリアはこれを…買いに来たのか?」

サニーの問いに首を振り、事情を話すとサニーはアリアの手を握りもっと奥へと連れて行く。


「サニーさん?」

「それなら、そんな安いのより…もっと高いの選べてっ!お前になら絶対似合っから!」

サニーに導かれるままに足を進めるが奥に進めば進むほど値段が高くなるのが分かるし、ショウウィンドウの厳重さも増していく…。

「でも…私…買ってもらう事になってるし…こんな高いのなんて…悪いですよ…。」

「かっかっ♪気にすんなてっ!それくらいしか出せない男なら止めとけ…!」

サニーはふと足を止めると近くの赤いドレスに近づく。

「これにすっか…。アリアなら絶対っ似合うぜ」

胸元の開いたフリルのドレス…確かに綺麗なドレスであるが…問題は値段である。

入り口のは百万から五千万位だったが目の前にあるのは六億……。

いくら鉄平が名のある再生屋としてもこの額は無理がある。

「待って…サニーさん。これは流石に悪いよ…。」

「いや、これ位フツーだろ?」

平然と答えを返すサニーに驚くがサニーはもう店員を呼んで買い物を済ませていたのだった…。

「着てこいよ、似合っから…な?」

服を渡し試着室へ押し入れられる…もうこうなってしまえば着るしか無かった。





鉄平は緑のジャージからタキシードに着替えグルメデパートへアリアを迎えに行く…。

「まぁ…大丈夫だとは思うけどなぁ…。」

アリアは遠慮がちな所がたまにあり、そこまで値段の高い物は選ばないと思っていた…それにアリアなら一度オレに許可を得てから買ってくれるはずだ。

鉄平は名のある再生屋だが正直いうと殆ど植物の種などを費用に充てていのでお金持ちでは無い…。

なので余りにも高いドレスを買われると辛い所がある…。

ドレス売り場に着くと入口近くにはアリアは居ない…鉄平は嫌な予感がした…。

「アリア…。何処に居るんだぁ…。」

「あ!鉄平ー!」

赤いドレスのアリアに抱きつかれ鉄平は嬉しさに満ち溢れたいが視界に映るアリアと同じドレスが目に入る…。

「六億!!!???」

信じられない値段に思わず叫ぶ。

「ご…ごめんなさい…鉄平。その……やっぱり返品してくる!」

レジのある方向にかけるアリアを引き止めるサニー。

サニーはラフな格好からスーツに着替えており鉄平は全て理解した。

「いいや、オレが選んだドレスだし、似合ってるから駄目。」

「あー…サニーかぁ…やってくれたねぇ…。」

頭を抱える鉄平にサニーは¨ハッ¨ど鼻を鳴らしアリアの肩を抱き寄せる。

「サニーさん…!?」

「まぁ…安心しろって、鉄平!オレが全部出したからさ。その代わり何だが…オレも…その…一緒にメシ行っていいよな?」

本当はアリアと二人きりが良かったのだが奢られては断れず鉄平は溜め息を着くと渋々了承した。

「決まりだな♪行こうぜ、アリア!」

サニーはアリアの腰に手を回しエスコートする姿に鉄平は¨俺の計画がぁ…¨と呟いた。





107階のグルメタワーにて三人は豪華ディナーを食べる。

勿論、鉄平の予定していた場所では無くサニーのお気に入りのレストランに来ている。

「綺麗な所ですね、料理もとっても美味しいです。」

「だろ?ここは旅行も一流だし、食器に景色、音楽と全てが調和されていてな…」

サニーは意気揚々としているなか鉄平は少し元気が無く
アリアは気になっていたがサニーはアリアに話しを振りまくる為に声をかけれずにいた。

「サニーさん、一龍てっ人分かりますよね?」

「おお、オヤジか?」

「私、実は一龍の娘なんです。」

サニーは食べる手を止め口を開いたままになる。

「え…マジ?ん、ならオレの妹てっ事か!?」

アリアは頷く。

「そういう事になるね、お兄さん。」

「あー…その呼び方は止めてくんない、サニーさんで頼むし」

「あ、すみません…サニーさん」

「その響きの方がいい」

サニーはニヤリと笑みを浮かべるとアリアに頭を撫でる。

「妹が一人増えたみたいだな…。」

「え…?妹…もう一人いるんですか?」

「ああ、リンてっいうんだ、今度紹介してやるよ」

アリアは微笑み¨お願いします¨と一言添えた。





ディナーも食べ終わり三人で街を歩く。

「アリア、送ろうか?」

アリアは首を振り鉄平の方を見るとサニーと繋がれている手をソッと放し鉄平の方へ駆け寄る。

「アリア…。」

「サニーさん、今日はありがとうございました。
とっても楽しかったです、もし…良ければまた行きませんか?」

サニーは落ち込んでいたが彼女の言葉に直ぐに元気になる。

「勿論いいぜ!なんなら今度一緒に狩りに行くか?」

「はい!喜んでお付き合いします。」

アリアの笑みにサニーは目を見開き頬が少し染まると下を向いて口を尖らせる。

「やて約束だかんな!」

「はい、約束です。」



サニーと別れた後アリアは鉄平の方を向き鉄平の手を握る。

「アリア…!?」

「鉄平…その…ごめんなさい…私…。折角誘って貰ったのに…。」

鉄平はしょんぼりとするアリアに優しく笑むと握られた手を両手で包むように握る。

「サニーはああいう奴だし、むしろアリアがサニーの自由気ままな所についていけるか心配してたさ。」

「サニーさんは少しだけ…自分勝手な所もあるけれど…気配りも所々上手で、楽しい人だったなぁ」

鉄平はアリアがサニーを気に入っている事に少し悔しさもあるが¨良かったな¨と口にした。

「あの…鉄平。このあと…暇かな…?」

突然の言葉に鉄平は硬直する。

「え…でも、もう夜遅いし…いや!俺は暇だけども…アリアは流石にこんな夜にウロウロさせとくのは良くないぜ」

「そっか…もし良かったら…私の料理食べて欲しいなてっ…。でも、お腹空いてないよね?」

アリアの言葉に鉄平は大げさに首を横に振る。

「大丈夫!大丈夫!アリアの料理なら幾らでも食べれるしむしろ食べたい!そうだ、俺の知り合いが近くにいるからキッチンでも借りるか!」

「うん!…じゃあ行こう!」

鉄平の手を握ったまま走り出すと鉄平は引き止める。

「て、鉄平?」

そこには顔を赤くした鉄平が空を見ていた。

「いや、あのさ…アリアは俺の事…好き?」

アリアは当然のように¨勿論¨と首を振る。

「鉄平…どうしたの…?」

「俺も好きだぜ。」

「ありがとう。」

微笑むアリアは鉄平の言葉の真の意味を解っていないのだろう、リアクションが小さかった。

鉄平はアリアを抱き上げ街を駆けた。












 

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