狙われる存在


癒しの国ライフ。

色々な設備に沢山の人間。

見たこともないものばかりでアリアは目を輝かせる。

鉄平は初めて玩具を手にした子供の様にはしゃぐアリアを見て心を和ませる。

「鉄平、ここは凄いね♪まるで夢の様だよ!」

「俺からすりゃ、こんな小さな事も知らねぇお前が凄げぇよ」

「人間界てっいいね♪もっと紹介して欲しいな」

鉄平はアリアの身体を一度強く抱えてから走り出す。

「なら!早く治さねぇとなあ!」

「うん!鉄平の師匠さんにも会いたいよ」






一本の木からなる建物に着く。

「ここが俺の場所だ。」

「鉄平のお家?」

「そうだ。」

鉄平は片手で身体を支えると片手で扉を開ける。



ビチャアーー!



「ひっー!」

アリアの目の前にまるで絵具でもぶちまけた位の量の血が舞い恐怖で身体がピクリと反応する。

「アリア。大丈夫だ安心しろ。
俺の師匠は食材を¨再生¨してるだけだ」

私は目の前の男に目を向ける。

黒いバンダナを巻いた血まみれ白衣をまとった煙草臭い男。

男はこちらに気付いたのかズカズカと近付く。

「おい!鉄平!こいつは…!」

どうやらお怒りのようで鉄平は¨あー¨と濁すような言葉を発してへらへら笑う。

「ありゃ…。だって大怪我負っちゃったら無理でしょ」

「バカやろー!それをどうにかすんのがお前の仕事だろ!くそっ!これじゃあ婆さんに怒られるじゃねぇーか!」

男と鉄平の話に付いていけず間で戸惑うアリア。

「あ…あの…鉄平?」

鉄平がアリアの困った表情に慌てる。

「そうだ、アリア!俺の師匠の与作だ。」

「初めまして、与作さん。アリアです。」

礼儀正しく頭を下げると¨ほぉ…¨と関心する与作。

「何処かの誰かとは大違いだな…。」

「ん…!誰かてっ俺じゃないスッか?」

「ふん…さぁな…。それより早くアリアを診せろ!」

鉄平は台に私を座らせると床を足で思いっきり叩く。

ドン!という音と同時にアリアの身体と四肢を繋げていたドクターアロエがほどける。

その瞬間、与作はアリアの右腕を掴むと体が固まった。

「鉄平!お前これ…何かの冗談か…?」

「し、師匠…。俺は確かに見たのに…!」

「…?どうか…したんですか…?」

疑問に思うアリアに驚きを隠せない二人。

「師匠…俺はアリアの両手足がアロウタイガーにもがれるのを見た…んだ…。」

鉄平はアリアの左手と胴体の繋ぎ目だったであろう所に触れる。

「お前…ホントに体が切れたのか?」

アリアを凝視する二人。

「私は確かに体と四肢がもげて鉄平に繋げて貰いました。」

「なら…こんな短時間で治るなんて…。
どんな細胞してんだ…。」

アリアは立ち上がり近くの鏡を見ると四肢と胴体のの繋ぎ目には一切の傷は無く綺麗なままだった。

「嘘…。」

アリアは自分が何者なのかと疑った。

「アリア…?」

鉄平は異変に気付き話し掛けるも耳には入らない。

「私は…何者なの…?」

「安心しろ…「やめてっ!」

アリアは鉄平の伸ばされる手を払いのけ出ていってしまった。

「こりゃ…参ったな…。」

鉄平はアリアの後を追った。






「ひっぅ…ひっぐ…。」

一人ベンチで涙をながす。

お父さんは私を隠したがるのはこれのせいなの?

以前に私はお父さんに¨私は狙われるから知られてはいけない存在だ¨と言われた事があった。

それ自体は全く苦には思わなかったけれど辛かったのは私が人とは違うという事を知った彼らの¨恐れる瞳¨が怖かったのだ。

「アリア、ここにいたのか…探したぞ。」

鉄平が後ろから声をかけるも無視をした。

「あのなぁ…!俺はお前はが狙われる存在だとは知ってた。けど、お前が凄く治りやすい体とは知らなかった。」

鉄平はアリアの隣に座り後ろから肩に触る。

「俺は羨ましいと思うぜ。世の中には治したくても治らない奴らだっていんだ。それに比べたらお前は恵まれ過ぎるぜ。」

私は鉄平を見ると何時ものへらへらとした感じは無く真剣な眼差しだった。

「鉄平…。」

「驚いて悪かったな。まさかあんなに凄い奴だと思わなかったからよ、な?お前を悪く言う奴が居たら言えよ、俺がお尻ペンペンしに行ってやるからよ!」

鉄平は笑顔で私の頭を撫でる。

¨私の存在を受け入れてくれている¨ということに涙が溢れてしまった。

鉄平は両手を広げ胸を張る。

「今まで辛かったんだな。泣くなら俺が全部受け止めてやるよ。ほらっ!抱きついてこい!」

私は鉄平に抱きついて大きく泣いた。

そんな私が泣き止むまでずっと鉄平は抱き締めてくれた。






泣き止み与作の所に戻るとそこには会長がいた。

アリアの父親がいたのだ。

「お父さん…。」

「今まで隠しておったのじゃがまさかバレるとはのぉ…。隠れるのも潮時だったんじゃろう…。」

会長は決断を下すのだった。




 

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