俺とコンビになってくれねーか?
助けて…。
アリアは走った。
黒い男から逃げるために…。
周りには木が鬱蒼と茂っていて、どれだけ走っても光が見えない。
ガッーー!
「え…鉄平…。」
鉄平の姿が見えると同時に足下に蔓が巻き付き倒れ込んだ。
「ようやくお前を手に入れた…。」
黒い男の前に出た鉄平はアリアに手を伸ばした。
「いや…!」
「アリア!大丈夫か…!」
アリアが目覚めると抱き締められていた。
「て…鉄平…?」
「またあの夢か…?」
鉄平はあれから3日ずっと側に居てくれた。
あの夢が繰り返される。
黒い男に追い掛けられて、鉄平は¨ようやくお前を手に入れた¨と呟いて目が覚める。
それに黒い男は…この間ココの家に訪れた男…。
「鉄平は…酷い事しないよね…?」
鉄平はアリアの訴えに笑顔で頷いた。
「当たり前だ…。俺は昔からお前の事が…」
「え…?」
額に口付けを落とし抱き締めた。
「俺は出会った日からお前を護るてっ誓ったんだ。」
「鉄平…ありがとう。」
アリアは鉄平の腕の中で包まれる安心感にホッとしている…。
あの黒い男は私を手に入れたがっている。
どうして…黒い男が私を…?
鉄平がどうして協力しているのか…?
疑問が深まるばかりで胸を苦しめた。
「実は黒い男の事なんだけど…」
「アリアー!俺様が見舞いに来てやったし!」
「サニー!お前ってヤツは…てっこっ、こいつは…!」
サニーは大きな蛇の上に乗って窓から現れたのだ。
「わぁ…綺麗な蛇…。」
「だろ?アリア、こいつはクイン。仲良くしてやってくれ。」
クインから飛び降りアリアの頬を触り、右腕へ指を滑らせる。
「くっあ…。」
「おい!サニー!」
アリアが右腕の傷に苦しむ姿に鉄平は思わず声を荒げた。
「やっぱりか…。」
サニーは悩んだ表情を見せ、溜め息を付いた。
「アリア、¨あの¨何か¨についてなんだが…。あれは…お前の超回復細胞の根源だと分かった。」
「だから…私の傷は直らないのですか?」
「ああ、あいつは痛みとか苦しみとかの負の感情で大きくなっていく…そしてお前の身体を蝕んで…最後には…。」
アリアは小さく笑い、頷いた。
「私…このままだったら死んでたんですね…。」
「お前自身が隔離されていた意味が分かったよ」
鉄平は独りぼっちのアリアの過去の理由に納得した。
負の感情は勿論、戦いなどでも苦痛が伴うが、人間関係ほど傷付きやすいことは無いと会長が判断したからだ。
「アリア…聞いてくれないか?」
サニーはアリアの手を握り真剣な眼差しを向けた。
「俺さ…トリコと松のコンビとしての絆つーのか…見てて俺の入る隙すらねーんだななんて…思っちまった。そんなときにお前が倒れて、俺は決心が着いた。俺はお前を必ず護るし、その…お前の作る料理が好きだ。
だから…俺とコンビになつてくれねーか?」
驚きを隠せないアリアの隣で拳を強く握る音が聞こえた。
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