争い合う心
崖の上に建つ一軒家。
「久し振りだねアリア。」
「はいっ!今から料理作りますから座ってて下さい。」
「うん、楽しみにしてるよ」
ココはキッチンで料理を作るアリアの後ろ姿を見詰めた。
「…………。」
ココはつい先日トリコと小松がコンビを組んだのを知り焦っていた。
小松とアリアは食材の声を聞ける将来偉大な料理人になるのではないかという人間だと…。
しかし、今彼がコンビを組んでしまった以上アリアはココにとってのコンビ第一候補なのだ。
だから…ココはアリアをコンビにすると決意したのだ。
「あの…ココさん…?」
「ん…?どうしたんだい?」
アリアは僕の心の声もうっすらと聞こえているのだろう…不安げな顔をしていた。
「ココさんは…サニーの事どう思いますか…?」
「サニー…?」
アリアの口から以外な言葉が出てきた。
サニーという名前…。
「サニーは昔から美にこだわって正直いうと変わった人間 だったし女々しいとまで思っていたよ。でも、戦い方、生き方に至るまで美しくしようと努力する姿は誰よりも格好いいし…美しいと思う。」
「ココさん…。」
「アリア…!今のは内緒だよ!」
「大丈夫ですよ」
アリアは顔を赤くしたココに笑いかける。
「ねぇ…アリアはコンビとか決めたのかい?」
アリアはココの問いかけにキョトンとした顔をする。
「コンビですか…まだ何も決めては居ません。でも…」
「でも…?」
「一緒に料理を作っていて楽しい人は居ますよ。」
ココは出鼻を挫かれたが、諦めてはいなかった。
「アリア…僕からのお願い聞いてくれるかな?」
「うぁ!…ココさん?」
ココはアリアの両肩を掴み引き寄せる。
アリアは予期していなかった為バランスを崩してココにもたれ掛かる体勢になる。
「僕とコ…「アリアーー!!!」
ココの台詞は乱入者によってかき消されてしまった。
「ちょ…アリアに何してんの?」
乱入者はココに怒りを露にする。
「サニーさん!どうしたのですか?」
「アリア…!」
ココの腕から離れてサニーの元に駆け寄る。
ココは残念そうな顔をするのを他所にサニーはアリアを抱き締めた。
「アリアの場所聞いたらここにいるてっ聞いてよ…久し振りにお前の料理食いてぇし!」
「今作ってるところなので良かったら一緒にどうですか?」
サニーは笑顔で頷いた。
ココはサニーを見るや笑みを浮かべたが、心は黒い感情を抱いていた。
三人で料理を食べ、アリアが片付けをしている間、二人は食材を取りに外へ出ていた。
「サニーはアリアとコンビになりたいのかい?」
「…。」
サニーはうつ向き黙った。
サニーは心の中で不安が止まらなかった。
トリコと小松がコンビになったことを聞いて
小松を諦めたくない気持ちと
¨アリア¨をコンビに引き入れたい気持ち。
どちらも棄てられない自分が酷く胸を焦がした。
「決められない…だよね…?」
「ココ…。」
「僕としてはアリアを諦めて欲しいな…。」
ココはうっすら笑みを浮かべる。
「!?…ココ…お前も…。」
「ああ、気になる…。僕に辛い思いをさせたくないてっ言ってくれた子だからね…。彼女なら僕の事を一番に理解してくれる筈だてっ…そう占いに出てるんだ。」
「…。」
俯くサニーにココは追い討ちを掛けるように口を開いた。
「そんな中途半端な想いで彼女に近付かないでくれないか?彼女が傷付くだけだよ。」
サニーは何も言えずに拳を握った。
「くそっー!俺だって…傷付けたくはねぇし…」
そんな中アリアの前に一人の男が現れる。
「あ…貴方は…?」
「フフフ…。探しましたよ?私達の目標達成の鍵。」
男は包丁をアリアに振るう。
アリアは一瞬、自分自身が料理される感覚に身体を支配される。
「なっ…!?」
しかし、アリアよりも相手の方が驚きを隠せずにいたのだ。
「私に…何をしたのですか…?」
アリアは頬に出来た¨傷¨から攻撃されたことを読み取り身構えた。
「ほぅ、これが…貴女の力か…。」
アリアの身体に出来た¨傷¨から煙が上がる。
傷を治そうとする治癒力に男は興味を抱く。
アリアは一度だけ瞬きをする。
「貴女は力ずくでは、私のモノには出来そうには無いですね。また出直すとしましょう。」
アリアが瞬きを終えた頃には誰も居ない。
男が付けた¨傷¨と共に消え去っていたのだった。
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