初恋
迷子の僕は森で少女と出会った。
「だぁれ…?」
「僕…僕は…鉄平。君は…?」
少女は満面の笑み答えた。
「私、アリア!」
青いドレスの少女は僕には眩しかった。
これが僕の初恋だ。
二十歳を過ぎた頃だろうか…。
師匠から一枚の紙と写真を渡された。
「バカ弟子、これは会長直々の依頼だ。
お前には再生屋をしながら彼女を監視して欲しい。」
「…!」
「いいか?これだけは守れよ。
この子に¨人間¨を近付けさせるな。」
「てっ事は…!」
ドカァ!
師匠は俺の頬を思いっきり殴る。
痛てぇ…。
「テメェ…もだ!一切関わるな!関係を持つな話し掛けるな姿を見られるな!分かったな?」
どうしてだてっ…言ってやりたかった。
写真に写る青いドレスの彼女は麗しかった。
これが俺の純愛だった。
彼女を影から見るだけで俺は幸せだった。
しかし、彼女が¨謎の男¨と出会ってしまった。
俺は任務に失敗したんだなと…溜め息をつくと共にチャンスが訪れた。
彼女はアロウタイガーにより四肢を引きちぎられたのだ。
そして¨助ける¨を口実とした再会を果たしたのだ。
「あ…あなたは…。」
青いドレスの彼女は俺を忘れていた。
これが俺の信愛だった。
サニーの一言で傷付いた彼女の元に駆け寄る。
「鉄平…?」
「まぁ…気にすんなてっ、な?アイツはデリカシーの分からねぇ奴なんだよ。こういう時は、アイツよりいい奴捕まえてコンビになっちまえば良いんだよ!」
彼女は小さく笑うと¨そうだね¨てっ俺の手を握った。
「ねぇ鉄平。…私ね…気になる人が出来たの。」
「え…!?誰?誰?」
俺は彼女の手を握り返した。
どうか俺であってくれ…!
「スター…てっ言っても分からないよね…。」
「…!」
青いドレスの彼女は¨謎の男¨に恋をした。
アリアは飯を作るために再生屋の家へ足を進める。
「さぁ、行こう、鉄平。」
「ああ、そうだな…。」
これが俺の失恋だった。
でも、俺は諦めない。
この初恋を…終わらせはしない。
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