誘拐と帰還


アリアが仲間の元に戻る一日前。

相変わらず仕事を終えて一人で部屋の中でゴロゴロしていた。

「皆元気かなぁ…。」

ふと仲間の顔が浮かび寂しさを感じた。

しかし、今は囚われの身であり帰してくれるわけがない。

いや…

この環境に慣れてしまってきている自分がいた。










パリン…!!








「え…?何…者…?」

窓から入ってきた鳥のような人型の何か…。

二足歩行で尖った嘴、青い身体…。

「イタイタ…ミツケタ。」

「誰か…!」

アリアの身体は軽々しく持ち上げられそのまま窓から飛び降りる。

「オマエハ、トマレナイ……。」

「貴方は…むぐっ!?」

「ネムレ…」

葉のような者を口に押さえ付けられたのを最後に気を失った。













「…!!ー!」

「ん…!」

目を覚ませばそこはベットの上だった。

「ここは…確か…。」

前にも来たことがある再生屋の研究所だった。

「さ、サニーさ…うわっ!」

サニーは思わずアリアを抱擁し泣き付いた。

「アリアっ!帰って来ないかと思ったし!」

アリアはホッとした気持ちと罪悪感もありながらもサニーを抱き返した。

「ただいま…サニーさん…。」

「おかえり…アリア。」




「ちょっ!サニー!何してんの!」

扉から慌てて入ってきた鉄平はサニーとアリアを引き剥がした。

「何てっ心配して当たり前だし…」

サニーは少しむくれた様子でそっぽを向いてしまうがアリアは鉄平の方にも抱き付いた。

「鉄平!会いたかったよ!」

「アリアっ!」

「美食會に何かされなかったか?大丈夫か?」

「大丈夫…だったと思う…。」

トミーロッドに腕を折られたり三虎に首元を噛み千切られたりしたがアリアにとっては大した傷ではなかった。

「それよりアイスヘルに行った皆は?センチュリースープはどうなったの…?」

鉄平はアリアの頭を撫でると笑顔で言った。

「安心しろ皆無事だ、トリコは療養中で小松くんはセンチュリースープの再現に苦戦中だ。他の皆は一度仲間の元に帰ったよ。」

「良かった…。」




「おーい!鉄平ー!さっさと戻ってこい!サニーお前は早く食材捕ってこい!」

「分かりましたよー!師匠!サニー行くぞ!」

サニーは明らか様な程に嫌な顔をする。

「サニー…?私は大丈夫で…」


ぐぅぅうう…。


「あ…。」

アリアは連れ去られた日から二日はご飯を食べていない為腹の虫がなる。

真っ赤な顔をするアリアの隣に座り微笑むサニー。

「そこで休んでろ、食材捕ってきてやるからよ…その代わり…なんだ、その、料理作ってくれるか?」

「勿論です!ありがとうございます…サニーさん気を付けて…。」

アリアはサニーの額に口付けた。




「「ーーーー!?!?!?」」

サニーは顔を真っ赤にして戸惑い、鉄平はこの世の終わりではないか位の顔で光景を凝視していた。

「ちょ!アリア…!それはなんの真似だ!それに俺達血は繋がってなくても兄妹だし…!」

「そ、そんな、アリアが…アリアがぁああ!」

慌てふためく二人にアリアは首を傾けた。

「え…可笑しなことしたかな…?」

「「え…?」」

二人は石のように固まる。

「これはね、¨大切な人へ安全を願うおまじない¨だって美食會の人に教えて貰ったんだ。」

「「なぁ!!??」」

笑顔のアリアとは裏腹に二人に電流が走る。

「お前っ…!美食會になんか変な事されてただろ!?」

「そんな¨おまじない¨教える奴から、それより先の事されなかったか!?」

「…え?二人とも落ち着いて…!ね?」




「おい!!何時までバカやってんだ!!さっさと来い!!」

慌てる二人に怒号がかかる。

「ほらっ与作さんが呼んでるよ?行ってあげて?」

困り顔のアリアの顔を見るや同時に頷く。

「頑張ってくださいね。」

「「おう」」

そう言って二人は部屋を後にした。







一人残されたアリアは溜め息をついてベットに顔を伏せた。

「私…間違ってるかなぁ…スター…。」




 

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