肉片


アリアはスタージュンの元に急ぎ足で駆けた。

「スター!」

「…。アリアか遅かったな…。」

スタージュンは図書館のような所の一室で本を読んでいたらしく彼の傍らには本が数冊置いてあった。

「ごめんなさい…。待たせてしまって…私…」

スタージュンは席を立ちアリアの額に口付けを落とした。

「す、スター…。ありがとう。」

「お前が何か大変な事に巻き込まれていなくて良かった。」

スタージュンはまた席に座ると暗い顔で思い悩む。

「スター…?」





「アリアはまだここに居るべきではない。」

スタージュンの体はアリアを抱えるとそのまま外へ出る。

「でも私は三虎様に美味しいてっ…お腹を満たして欲しいんです。」

「アリアにはまだ経験が浅すぎる。」

「スター…私はそれでも…諦めたくないの。」









スタージュンは下をうつ向き考え込むように彼女の名前をよんだ。

「アリア…。」

「スター…?何か…不安な事でもあるのですか?」

アリアはスタージュンの顔を伺う。

「どうしたら…スターを助けられる?」

スタージュンは不安そうなアリアを見ると胸が張り裂けそうな程に痛む。

「アリア…少しだけ来てくれないか?」

「はい…。…わっ…!?」

手を握り引き寄せ勢いよくお姫様だっこさせると戸惑った様子で顔を赤らめる。

「スター…。あのっ…一人で歩けますよ…!」

「ふふっ…そのままでいい。俺がこうしたいだけなのだからな。」

「分かった…スターがそう言うなら…。」

アリアは黙って従う。





スタージュンはそのまま部屋へ連れて行こうとするが

「スタージュン…ボスがお呼びです。」

「…。分かった、今行く。」

アルファロに呼び止められ溜め息混じりに返事を返し
アリアを降ろす。

「アリア…後で…ー!?」

スタージュンは固まりアリアを見詰めた。

アリアはスタージュンの額に口付けをしたのだ。

「スター…これはお返しかな…。頑張って下さい。」

「ありがとう…アリア」

アリアは小さく微笑んだ。

アルファロはアリアの方を向きニヤリと笑みを浮かべた。

「…?」

「アリア、貴方は後でボスの所に行きなさい。分かりましたね?」

「はい。分かりました。」












アリアは一人で部屋に戻りベットに顔を埋めた。

「スター…。」

男の名前を呟き溜め息をついた。




コンコン…。




扉のノック音に返事を返すと扉が開く。

「アルファロさ…!…!?」

てっきりアルファロが迎えに来たのかと後ろを振り向こうとすると身体がベットに押さえつけられる。

「み…三虎…様…!?」

「喰わせろ。」

「え…いっああああ!」

三虎はアリアの首筋に噛み付き引きちぎったのだ。

いや、正確には首筋の肉を食べたのだ。

「ー!…つっ!」

痛みで苦痛の表情を浮かべるアリアを三虎は切なそうな顔をして右手を握り三虎の心臓に当てられる。

「アリア…お前は何を…思う?」

アリアの肩は超回復により治りかかっている身体を無理矢理起こし三虎を抱き締めた。

「み、どら…様は、お腹が減っているのですね…。
大丈夫です、私が今から料理作りますから、それと…もし良ければなのですが…一緒に食べませんか?」

アリアの真っ直ぐな瞳に目をそらす。

「アリアお前はジジィと同じことを言うのだな…。」

「…?」

微笑む三虎はアリアの身体が治りきる前に部屋を出ていってしまった。










「三虎様!」

研究所に足を運ぶ三虎を慌ただしそうに迎える小さな老人。

「これで解るのだな?」

三虎は口から肉片を吐き出し老人に渡す。

「あぁ、三虎様自らそのような事をなさらずとも…他に適役は居たはずです!」

「いいや、あの娘は私の獲物だ…。誰にも渡しはしない。」

「ですが…!万が一が有れ…!」

三虎から殺気のようなオーラが研究所を包み老人を黙らせた。

「いいか、あの娘の力さえ有ればグルメ界に入れる奴が増えるはずだ…研究を始めろ。」

「はっ!仰せのままに…!」

老人は頭を下げると立ち去る。







三虎は小さく笑う。









「ジジィ…お前の娘は私のモノだ。」





 

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