美食會のボス
アリアはドレスに着替えアルファロに連れられて三虎と対面する。
「ボス、例の女です。」
アリアは全身を覆うほどに長くうねった黒紫色の髪が特徴の男が放つオーラに畏怖していた。
この人には逆らえない…と身体が言っている。
でも…私は戦わなきゃ…。
皆のところに帰りたい…。
「私は…嫌です。」
「ほぉ…?」
「私は貴方に料理は作りません!私の大切な人を傷つけた貴方なんかに……ひっ!」
アリアは余りの事に腰を抜かした。
目の前に三虎の顔があり頬を触られていた。
「いい目をしているが…何処と無くジジィを思い出す…。」
「お腹…が…空いているのですか…?」
「…!?」
三虎は驚きアリアから離れた。
¨自分を知られる¨という事を恐れたのだ。
「女、私の心が読めたとして俺の腹を満たせるのか?」
アリアは首を横に振り悲しい顔で見詰める。
「ごめんなさい…。できません。それは¨心の空腹¨だから…私の実力じゃあ…満たせません。」
アリアの実力では不十分だった。
「でも…私は貴方に少しだけでいいなら…満たす事は出来るかもしれません…。」
三虎は目を見開き大きく笑う。
「出来なければ…?」
アリアは口をつぐみ…息を飲んだ。
「私はここから逃げない…出来るまでずっと…」
「面白い女だ…気に入った。良いだろう…二十日だ。それまでに私が認める料理を作れ、いいな?」
「…はい…。」
アリアは三虎の前で意を決した。
三虎を満たしたいと…彼は何かを失って空いた穴を埋めたがっている。
それを満たせば美食會は酷いことをしなくなるのではと…。
独占しなくなると…。
こんなのは甘い考えなのは分かっていた。
アリアには無謀でいかに自分が愚かなのかも分かっていた。
でも三虎をほっておけなかったのだろうか…?
アリアは自分の胸に手をおいた。
「待ってて皆…私、頑張るから…。」
これがアリアが美食會に身をおいた二十日間の始まり。
[
back]