センチュリースープ


滝丸と共にアリアはグルメタウンにやって来た。

「滝丸くんどうやって、薬代を稼ぐの…?確かその薬てっ100億位したんじゃ…。」

「それはグルメ大富豪のカーネルの仕事依頼をこなせば多額の報酬を貰える筈です。」

滝丸は一軒のバーの前に着くとアリアの手を握った。

「出来るだけ僕から離れないでくださいね。でないと、僕は貴女を護れませんから…」

「分かった、約束するよ。」

バーの中に入るとバーのマスターであろう男に滝丸は紅茶を二つ頼みテーブル席に座るとマスターはアリアに声をかけた。

アリアは周りを見渡すと屈強な男たちばかりで依頼の危険度がかなり高いことが伺える。

「滝丸くん…本当に大丈夫なの?」

滝丸は無言で紅茶を口にした。

アリアは何だが空気が重く居ずらくなり席を立ちマスターのいるカウンター席に移動する。



「あの…ここてっ皆依頼で来てる人なんですか?」

「その通りだ、お嬢ちゃん、どうした?喧嘩でもしたか?」

「いえ、何だが空気が重くて居ずらいな…てっ思って…。」

俯くアリアにマスターは大きく笑う。

「ガハハハハ!そりゃ皆命賭けてんだ!無理もねぇーよ!お嬢ちゃんは料理人だな?」

「はい、どうして分かったのですか?」

「俺は¨目利きのモリ爺¨てっ呼ばれるくらいに美食屋の実力、才能を見抜くのが得意でなぁ!」

「凄いですね…私はどう見えてますか?」

「お嬢ちゃんは強い…とは言えねぇが食材に愛される才能がある。それはきっと使える筈だ、安心して行ってこい!」

アリアは顔を上げたちまち笑顔になる。

「本当ですか!嬉しいです♪」

「そりゃ、良かったな。ところでお嬢ちゃん、一つだけ聞いていいか?」

「はい?」

「後ろのあの緑のジャージのマスク男いるだろ?」

マスターは小さく指を指しアリアもその方向を見ると確かに何処かで見たことのあるような緑のジャージのマスク男がいた。

「あ、はい。彼がどうかしたのですか?」

「ずっと落ち着きのある感じなんだがお嬢ちゃん達がが入って来たとたん少し動揺してたんだがぁ…知り合いか?」

「んー…分からないです…。もしかしたら滝丸くんの知り合いかもしれません。」

「そうか…なら別に良いんだが…。ワシの予想ではあやつが一番強い男だろうな…。」

アリアは目を見開きもう一度ジャージの男を見た。

「彼が…一番強い人…。」





「なぁ…少年。席を譲ってくんねーかな?そもそも子供が来る場所じゃねーんだぜ。」

顔中キズだらけの白いスーツに赤いワイシャツ、腰に刀をさした男が滝丸の元にやって来た。

「子供あつかいするな。僕はもうお酒も飲める年だ何なら力ずくでどけてみれば?」

滝丸は紅茶を飲みながら余裕の表情で男をあしらい、更にバカにする。

「ほう…よぉし…ゴングを鳴らしたのはお前だぜ!!」

アリアは殺気に気付き思わず席を立とうとするとマスターは¨やめとけ¨と小さく言ってから大声で叫ぶ。

「コラァァ!!おどれらワシの店で暴れんじゃねーぞ!!大人しくまってな!!もうすぐ¨カーネル氏¨が来店する時間だ!!」

その時店の扉から二人の男性が現れる。



「おいーっス」

「「!!!!!!?????」」

「?」

その男にアリア以外の全員が驚く。

一人は青色のリーゼント頭の鉄平を思わせるような白いスーツの大男。

もう一人は小柄でどう見ても弱そうな短髪の男。

「「美食屋のトリコだぞ!!」」

皆はその男をトリコと呼びアリアは驚く…自分の義兄をまた一人見つけることが出来たのだから。

アリアの隣に小さい男、その隣に大男が座る。

「よぉ、マスター久しぶりだな。」

「おう!久しぶりじゃねーか!」

大男とマスターは意気揚々と話をする中、もう一人の男はアリアに話しかける。

「あの…意外ですね…。女の人でこんな所に来るなんて…。」

「あの…貴方がトリコさん…?」

アリアは男の話よりトリコという男が気になって仕方がなかった。

「え!?いえ、僕じゃ無くて彼の事です。」

小柄な男は隣の大男をさすと大男はこちらに気付き¨ヨォ!¨と笑顔で挨拶した。

「初めまして、アリアです。あのお父さんから話は聞いてます。」

「まぁ俺は有名人だからなっ!」

感じの良さそうな人でアリアも思わず笑顔になった。

「あ…そうだ、ごめんなさい…貴方は…?」

小柄な男の方を向くと男は¨どうも¨とペコリと頭を下げる。

「僕は小松てっ言います。料理人なんですけどトリコさんに誘われてここに来ました。」

¨料理人¨という共通の職業にアリアは嬉しくなり思わず抱きついた。

「私も料理人なんです!仲良くしましょうね♪」

「アリアさ…ん、苦しいです…むぐっ…ぐ…」

苦しそうにじたばたする小松に気付き急いで手を放すと小松もこの美食屋の中唯一の料理人仲間が居ることに嬉しく笑顔を見せた。

「あの…アリアさんもスープを採りに?」

「いえ、私はお金集めの為にです。ところで¨スープ¨てっ?」

「はい!百年に一度しか現れない幻のスープ¨センチュリースープ¨の事です!」

「¨センチュリースープ¨それを今から探しに…。」




「全員食事の手を止めろ!カーネル氏のおみえだ!」

と息なり黒服の数名の男と共に小さな宝石を纏った男が現れる。

この小さな男こそが¨カーネル氏¨なのだ。

「私の依頼に応えてくれたのなら百億出そう。」

皆がざわざわと驚く…莫大な報酬を前にして。

カーネルは後ろを向きニヤリと笑うと

「¨センチュリースープ¨挑戦したい者はついて来い…!!」

その言葉に大勢の美食屋が連なる。

勿論トリコや小松、滝丸…そしてアリアも。




これから大自然のふるいにかけられると知らずに…。

向かう場所は全てを凍らせる氷の大陸¨アイスヘル¨。

狙うは幻のスープ¨センチュリースープ¨。

 

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