お見合い
私は花佐部由香、ごく普通の女です。
桜が花開く頃…。
そんな私にお見合いの話が来たのです…。
よりにも…なんで私に…?
私は振り袖に着替えて彼の大きな屋敷に向かった。
迎えに来た車も高そうで、私には全く合わない世界。
「お待ちしておりました。花佐部様。」
その家の執事のような人に連れられて私は奥へ向かう。
カチャ…
扉が開いた…。
その扉の奥に立っていたのは、スーツを着た背の高い黒髪の男の人だった。
「はじめまして、由香さん。」
私は頭を深々と下げる。
「はっ…はじめまして!!おっ、お会いできて光栄です!」
彼はクスリと笑い
「そう賢まらないで良いですよ。」
「あっ…はい。ありがとうございます。」
私は頭を上げる。
彼は本当に素敵な人だった。
私には有り得ない相手だった…。
彼は私に手を差しのべて
「俺は今泉俊輔てっいいます。よろしく。」
私は両手で彼の手を握り
「私は花佐部由香です。こちらこそ、よろしくお願いします。」
どうして…私なんかを選んだのだろう…?
私には合わなさすぎる…。
世界が違い過ぎる…。
今泉くんには悪いけど、
この話しはお断りしよう…。