心愛と信愛 | ナノ

分からないよ…。


「なぁ…由香…!」
私は家に来た迅にいきなり本名を言われた…。
まだ、デートのふりしてるのか?
「バカ、由香じゃ無い。葵だろ?」
「違うだろ…。お前は女なんだろ?」
「だから違っ…!!!!」
迅は私の袴の前をカバっと開ける。
さらしを 着けた胸が露になる。
「バッ…バカな事しないで!!」
私は急いで前を隠した。

「ほら、やっぱり女じゃねーか」
「っ…。俺は…いや…私は女だよ…。悪いか?」
まさか、バレるとは思わなかった。
私の周りで一番鈍そうな迅に…。
「なんで、黙ってた?」
「それは…」
私は言葉を詰まらせる。
「お前はそれで良いのかよ?」
迅も迅のお母さんと同じ事を言うんだな…。
「ああ。構わない…。ずっとそうしてきたんだから。」
「金城に惚れてんだろ?」
私は驚きの余り後ずさる。
「なんで、それを…」
「全部聞いてた…。」
聞かれてたのか…。


「なぁ…由香。お前は女として生きたいと思わないのか…?」
私は…ずっと男として生きてきた…。
女の子が楽しそうにオシャレしたり
可愛い物を着けたり見たりしているのは
何度も見たことはある。

でも、私はそんなことをした事が無かったから
したいと思っても、
私は男であるという枷に動けなかったのかもしれない。
そのうちに、興味を無くしてしまったのかもしれない…。
でも、今日初めて女の格好をして少しも楽しいと思っていたのかもしれない…。


「分からないよ…。そんなこと…。」

だって、私は女としての幸せを知らないから…。


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