心愛と信愛 | ナノ

違和感


坊主頭の眼鏡をかけた男。
「あっ…これ競技用自転車?」
自分の自転車を見つめる…
ただ、格好いいからと言う理由で中学の時から乗っている自転車を…
「ああ、そうだ。」
彼は真顔で答えた。
「それが一体どうしたんですか?」
すると、いきなり彼の大きな手が肩を掴んだ、
「…!!!」
いくら、男のふりをしても私は女だから身体は小さい。
私、彼に対して何か悪い事したのか…?
「自転車競技部に見学に行かないか?」
「へ…?」
いきなりの誘いに驚いた。
初対面で名前も知らない彼に自転車競技部に誘われたのだ。

「どうだ?」
彼の瞳は真っ直ぐ私を見つめた。
胸に何か違和感を感じた…。
「えっ…あ…うん。」
やってしまった…。
「よし、そうと決まればいくぞ!」
彼は嬉しそうに笑った。
余程自転車が好きなんだなぁ…
自転車競技部かぁ…サイクリングでもするのか…?

ドンッ
「うあっ」
「すまない、大丈夫か?」
道の途中、彼が脚を止めたので、考えごとをしながら歩いていた私は彼の大きな背中にぶつかった。
「あ…ああ、」
微笑み、彼に大丈夫なことを示した。
「どうしたんだ?」
すると、また彼の瞳は私を見つめた。
また、胸に違和感を感じた…
「名前…聞いてなかったな」
「あ…」
そうだ、忘れてた…。
「俺は金城真護、お前と同じ一年だ。」
「俺は花佐部葵。」
すると、彼は微笑み「よろしく。」と言った。
「ああ、よろしく。」
私もつられて微笑んだ。

そして、また脚を進めた。
私はこの時まだ知らなかった。
自転車競技部がどんな部活か…。

彼に見つめられた時に生じる
この違和感を…。

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