口付け
私達のチケットを買う番がきた。
「カップル割り引きですね。ではカップルである証明をしてください。」
「なっ…しないといけないのか…?」
金城が焦りを隠せない…。
「はい、彼女の顔に口付けを…」
定員さんは笑顔でいる。
後ろで迅は笑いをこらえている。
どうやら、迅は元からこの事を知っていたようだ。
だから、あんなに金城に頼み込んでいたのか…。
「金城…。わ…私は大丈夫だから…なんなら普通料金でも構わないよ…。」
なぜだろう…胸が苦しい…。
「金城…?」
金城は返事がない。
「きん…じょっ…!!!!」
金城は私にキスをした。
定員さんは“顔に口付けを”と言ったから別に顔の何処でも良かった…
頬でも鼻頭でも額でも
なのによりによって…!
唇にキスをしたのだ…!
「あっ…えっ…ああ…金城…?」
金城の方を見ると
「あ…すまない…。」
瞳と瞳が合う。
「…!!!!」
心臓の鼓動が止まらない。
苦しい…!!!!
そのあと私の視界が真っ白になった…。