心愛と信愛 | ナノ

壁ドン企画5 総北A


1.手嶋純太
「由香、今日の部活について話したいんだが?」
「うん、分かった。」
私は昼休みに手嶋くんに呼び出された。
手嶋くんは何時もならもう連絡も他の部員に着いている
はずなのに…と疑問に思いながら彼についていった。
「手嶋くん?」
連れてこられたのは屋上だった。
「由香は相変わらず鈍いよな。」
「へっ?」

ドンーーー!

「て…手嶋くんっ…!?」
彼の両手は私を挟み壁を押さえ付ける。
「俺がお前のこと好きなの気付いてた?」
「え…!」
私は目を丸くした。
それを見て呆れたように笑うと
「由香…おまじないをかけてやるよ。」
「おまじない?」
手嶋くんの顔が近付き私の頬に口付けをする。
「て、て、手嶋くん!?」
「これは俺を忘れられなくするためのおまじないさ。
それで…。」
手嶋くんは私の首元に顔を埋める。
私の首に痛みが走る。
私は思わず手嶋くんを突き放す。
「手嶋くん…なっ…何したの?」
「他の男を寄せないためのおまじないさ」
手嶋くんは妖しく笑った。



2.青八木一
¨青八木くんてっ何考えてるんだろ?¨
てっ思いながらよく彼を遠くから見つめていた。
ある日向こうも気付いたのかこちらを見やり
私は思わず目をそらした。
「目…そむけないで。」

ドンーーー!

彼はいつの間にか目の前にいて
私の顔と彼の顔は数センチの距離まであった。
「あ、いや!ちっ違うの!
ただ何考えてのかなぁ…てっ思って…!」
逃げたいのに彼の両手で行方を塞がれ身動き出来ない。
「……当ててみて。」
「え!?あ、えっと…………。」
全く分からない…。
というより頭の中が真っ白で何も考えられない。
戸惑う私の額に自分の額が触れる位の頭突きをする。
「青八木くん…。」
「時間切れ。…答えは……内緒。」
彼は私から離れてしまった。
取り残された私は一人呆気に取られてしまった。



3.鏑木一差
私は後輩の鏑木くんに部活終わりに呼び止められる。
「どうしたの?悩みごとなら聞くよ?」
「あのっ…花佐部先輩どう思います?」
「何が…かな?」
鏑木くんは慌てたように顔を真っ赤にする。
「俺っ…実は好きな人がいて…そっ、こっ告白をしようと思ってるんですよ。」
「そっか…まず段竹くんには相談した?」
「しっ…したけど……」
「断られたとか…?」
「そうなんです…お前なら上手くいくって」
拗ねるような仕草をして私を見やる。
「まさか…その子も鏑木くんの事好きとか?」

ドンーーー!

「そうなんですか!?」
私は両手で鏑木くんに挟まれる。
「いや…私はその子の事知らないから分からないよ…」
この言葉を聞いて更に顔を真っ赤に染まる。
そして一度上を向いてから深呼吸をして私を見詰める。
「…?大丈夫?」
「花佐部先輩!好きです!
オレと付き合って下さい!」
私は鏑木くんの懸命でまるで子供の様な初々しさが可愛くてつい笑ってしまう。
「花佐部先輩?」
「段竹くんの助言は間違ってないね♪」
私は鏑木くんを抱き締めた。



4.古賀貴公
私はクラスの古賀くんが
自転車の整備をしているのを見つけた。
「古賀…くん?」
呼んでも聞こえていないみたいだった。
「こーがくん♪」
「あ…!ごめん!花佐部さん!」
「こっちこそごめんね!」
「いや、花佐部さんが話し掛けてくれるなんて嬉しいよ」
古賀くんの眩しい笑顔に私は瞳を反らした。
「あ…あのね。古賀くんそれ…変わってるね」
私は自転車が気になった。
「気になるかい?」
「うん。私の知ってるのと違うなぁてっ…」
「これはロードレース用の自転車でね
俺達自転車競技部はこれを使って走るんだ。」
「ふふっ♪」
「花佐部さん?」
「だって何時もはなんだが気が抜けてる感じなのに
自転車の事になると真剣なんだもん」
私は自転車にそっと触れた時だった。
「花佐部さん…!そこはまだ直して…」
「えっ…痛っ」
私は自転車のトゲの様な所で手を切った。
「大丈夫かい!?手見せてみて」
「大丈夫だよ、少し切っただけだから…」
彼は私に無言で近づく。
「古賀くん…?だっ…大丈夫だから!」

ドンーーー!

私は彼に壁に押しやられケガをした手を握られる。
「花佐部さん安心して…
俺はケガには詳しいんだ。」
彼は私の傷口に口付けをした。



4.杉元照文
今泉くんの顔を見に教室から少し顔を出す。
「今日も格好いいなぁ…」
幸せにふけっている私に知っている声がかかる。
「あー…花佐部さん?」
「あ…はい?」
確か…今泉くんの同じ部活の…杉元くん?
もう…邪魔しないでと思ったが
ここは笑顔で返す。
「あーもしかして…今、今泉くんの事見てた?」
「え!?いいやぁ!違うよぉ!」
「図星だね?彼はモテるからねぇ」
相変わらず話し方がムカつく。
「そ…そうだけど…?貴方には関係ないじゃない?」

ドンーーー!

「は…はい?」
私は思わず固まる。
「僕は貴方が好きです!」
「………。」
杉元くんといえばムードとか大事にしそうな人なのに
こんな大胆だったなんて……。
気付けば彼の大きな声により周りがざわつく
今泉くんもこっちを見ている。
「な…っー!離れて!」
私は杉元くんを突き放しその場を離れた。

顔を真っ赤にして離れていく私は知らない。
後ろで杉元くんと今泉くんが目配せしていたことを…



5.寒咲通司
友達の幹ちゃんの家に遊びに来ていた。
寒咲サイクル総北の自転車部もお世話になっている。
「ただいまー」
「おう、おかえり。」
幹ちゃんの声に寒咲さんが裏から出てきた。
「あ…こんにちは!寒咲さん」
寒咲さんは微笑んでからゆっくりしていけと言った。

小さい頃幹ちゃんの家に遊びに行ったことはあるけれど
寒咲さんはその頃から大人ぽっくて格好良かった。

幹ちゃんが羨ましいなぁと思って出されたお茶を眺めていると低くささやく声が後ろから掛かり体がビクリと反応する。
「由香、久し振りだな。」
「か、か、寒咲さー「静かに…。」
寒咲さんは驚く私の唇に人差し指を当てる。
前方を見るといつの間にか幹ちゃんが奥にある新品の自転車の傍でずっと目を輝かせていた。
「大きくなったな。」
「久し振りですからね。」
小さな声で話す。
寒咲さんは私の首もとに顔を近付けて
「綺麗だ。」
どうしたらいいのか分からなくて幹ちゃんの方に目をやると幹ちゃんが気付けば視界にいない。

ドンーーー!

「何処見てるんだ?」
私の座るテーブルに手をつき私を上から見下ろす。
「寒咲さー!」
私の言葉を遮るように唇を唇で塞がれた。
慌てた私は椅子のバランスを崩して床に倒れる。
「由香ちゃん?今凄い音したけど大丈夫?」
幹ちゃんが音に気付き奥から顔を出す。
「由香が椅子から落ちただけだ」
「あ、うん、幹ちゃん大丈夫だよ」
私は彼の手に引っ張られ体を起こす。
「ありがとうございます、寒咲さん」
「いいや、今のは俺が悪かったよ」
幹ちゃんの元に行こうと私は足を進める中彼は呟いた。
「あれはさっきの詫びてっことで…。」
振り向く私に意地悪く笑って見せた。

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