心愛と信愛 | ナノ

ルート1 「分かった。」


「分かった。」
微笑む石垣さん。
「ありがとう。気をつけてな…。」
「石垣さん…また、会えますか?」
「勿論や、」
私は彼の笑顔につられて笑顔になった。
そして私は道沿いに走った。
真波くんが居ると願って。

暗い道を走った。
光が射したとき声が聞こえた。
「由香!」真波くんが私を呼ぶ声が。
「真波くん!」
彼は銃で撃たれたのにその傷はふさがり嘘のようだった
「良かったぁ…どうなるかとおもったよー!」
「石垣さんが逃がしてくれたの…。」
真波くんはそっと私の手を握る。
「来て…今はここを離れなきゃ。危険だ。
あとね…大事な人見つかったよ。」
「真護が…?」
「うん、正確には向こうで待って貰ってる。」
「なら、行かないと!」
私は彼の手を強く握り締めた。

「あ…ああ!…真護!」
私は目の前の光景に思わず泣いてしまった。
「由香…?」
私は駆け寄る、抱き締めた。
「会いたかったよぉ!真護っ…!」
涙が止まらない、嬉しかった。
そんな私の肩を握り私を引き離した。
不意な事に私は理解出来なかった。
「真護…?」
「俺もお前に会えて嬉しい。だが、俺にはやらなくてはならない事があるんだ。それまで安全な所に居て欲しい。」
私は大きく首を振った。
「嫌だよ!やっと会えたのに…また離れるなんて…。それに真護にはこの世界は苦しすぎるよ…」
そう、ここは女の居ない世界。
迷い混んだ人間の女は好まれても男は嫌われる。
「心配してくれて嬉しいが今は一緒じゃ無い方が安全だ。お前の為にも…。」
真護は真波くんと目配せして
「後は頼んだ。真波。」
「分かったよ。気をつけて…。」
「ああ。由香…またお別れだ。」
私は頷く。
「真波、福富の所へは行ったか?」
私はその名前に目を見開く。
「ううん、これから行くところです。」
「そうか。くれぐれも由香を一人にしないでくれ。」
「はーい♪行くよ由香。」
真波くんは私の手を引く。
「真護!また…会えるよね?」
「勿論だ。」
微笑む真護だが、そこには苦しさが混じっているようにも見えた…。
そんな彼の側に居れないのが辛くて仕方が無かった。


あれからどれ位歩いただろうか…。
ずっと平坦な何もない道だった。
「真波くん…しんどく無いの?」
「いいや、むしろ楽しいよ♪」
「そっ…そうなんだ…。」
「それよりほらっ!着いたよ東の国。
王様に挨拶しないとね♪」
前方に見える大きな城を指差す。
「あれが…東の国。」
「大丈夫だよ、良いところだから!」
真波くんは私の手を強く引き歩く速さを上げる。
「うあっ!」
私は疲れで足がもたつき前に倒れそうになった。

ドッーーー!

「大丈夫か?お嬢さん。真波よ、レディはもっと優しく扱え、特にこんなに可愛い子はな!」
私は誰かに支えられた。
顔を上げるとカチューシャの似合う男が居た。
私は急いで男から離れる。
「ありがとうございました。えっと…。」
「俺は仕事も出来るしトークもキレる美形国王補佐官の東堂だ!」
指を指され私は目を丸くした。
「えっと…東堂さんありがとうございました。
では、私達はこれで…。」
「えっ…?」
「では東堂さん、先行ってますね♪」
真波くんが東堂さんに手を振る。
「おい!真波!フクの所に行くんだろ?!
俺は美形国王補佐官だぞ!俺を通してからだろ?!」
「えー…福富さんならそんなの気にしないですよ♪」
「いや!だからってなぁ!酷くないか?」
「そんなこと無いですよ♪じゃあ、お先行ってますね」
「俺も行くぞ!」
先を進む私達についていく東堂さん。
「あの…東堂さん」
「ん?どうしたのだ?」
「東の国と西の国てっどういう関係ーー……」
「由香?…おい!?」
「由香!」
目の前が霞む…。
ずっと眠って居なかったからか…。
もう…駄目だ…。
そのまま私は気を失ったのだろう…。

誰も居ない赤い絨毯の長い廊下。
その奥に誰か居る…。
「誰…?」
「その声は由香か?」
私は聞き覚えのある声に思わず逃げ出した。
「ひゃあ!?」
奥に居たのに後ろを向けば目の前に居たのだ。
「…ご主人…いや福富様…。どうなさいましたか…?」
「どうして逃げる?」
メイドである私の元雇い主は私に責め寄る。
「離れて下さいっ!私はもう貴方様のメイドではございません!私は今は一人の女なのです!」
「…ーのか?…ーーーだったのに。」
「いやっ!離して!助け…!」
このあとは私は覚えて居ない…。
起き上がるとそこに心配そうにしている真波くんが居た。
「大丈夫?うなされてた。」
「大丈夫だよ…。」
「ねぇ…聞いていい?」
「何を?」
「金城さんと福富さんの事とか君のこと…。
俺何も知らないから…。不安で堪らないんだ。」
私は俯いた。
私の過去は…あまり良いものでは無いからだ。



ルート1 話す。
ルート2 話さない。
貴方はどっち?





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