心愛と信愛 | ナノ

壁ドン企画1 箱学@


1.福富寿一
部活が終わりマネージャーである私は皆が帰った部室の戸締まりをしていたときだった。
部室の扉が開く。
まだ、残っている人が居たのか…熱心だなぁ…。
「部長、お疲れさまです。」
何時も通りの作り笑顔の挨拶。
私は片付けに戻る。
「花佐部。」
「はい、何でしょうか?」
「どうしてお前は笑わない?」
「はい?私は何時も笑顔ですよ♪部長。」
私は笑って見せた。
「ぶっ…部長!?」
なんと福富部長はどんどん私に迫るように近づく。
私は窓の壁に押しやられる。
「笑え。」
「だから、笑ってるじゃあ無いですか!」
私は少し苛立ち強く言った。

ドンーー!

部長は怒ってしまったのか片手で壁を強く叩く。
「部長…。何がしたいんですか?」
福富部長は意識を取り戻したようにハッとしてから
急いで私から離れた。
そして独り言のように呟いた。
「俺はお前の笑顔が好きだ。」
私は唐突な言葉に驚いたけれど
何だか可笑しくてつい笑ってしまった。
それを見た福富部長は小さく笑った。
「その顔だ…。」



2.荒北靖友
荒北くんに呼び出され誰も居ない屋上へやって来た。
扉を閉めて周りを見渡す。
「誰も居ない…?」
「ここだヨ。」

ドンーー!

「…!?」
私は彼の両手で塞がれる。
後ろは扉、左右は荒北くんの腕。
逃げられなかった。
「由香チャン、捕まえた♪」
「えっと…あ、荒北くんどうしたの?」
「今ドキッとしたかァ?」
彼の真剣な瞳が見れなくて目を反らした。
「目ェ反らすんじゃねぇヨ!!」
不機嫌になった荒北くんは怒鳴る。
「ごめんなさ――」
私は反射的に顔を上げると
彼は私の唇を奪った。



3.東堂尽八
「壁ドンかぁ…。」
私は窓際の席で雑誌を見ながらふと呟いた。
「ん?どうしたのだ?由香。」
隣の席の東堂くんが雑誌に目を見やる。
「あ、東堂くん、最近ね壁ドンてっのが人気らしいよ」
「それは面白いなぁ…。だが、俺はそんなことしなくても簡単に落とせるがな!」
東堂くんは確かに顔は綺麗だ。
ファンクラブが有るらしいが
だからといって私には関係の無いことだった。
「ふぅん…。そりゃファンならでしょ?」
「なっあ!?何を言うか!俺はだな美形クライマーだぞ!落とせない女はおらん!」
私は軽く受け流し雑誌に目を向けようとした。

ドンーー!

「とっ…東堂くん!?」
私は行きなりの壁ドンにあたふたした。
そんな私を見てニヤリと笑う。
「ほう…こうも簡単だとは…。」
「東堂くん、早く退いて…」
「由香!俺だけのものにならないか?」
東堂らしくない真剣な顔をして変な事を言った。
「何言ってるの?保健室でも行ってきたら?」
私は東堂くんを押し退けて教室を出た。
「うむ…。由香はガードが固いなぁ…。」



4.新開隼人
私は帰り道兎に出会った。
しかも凄いなついてくる…。
帰りたいのに離れてくれない。
「迷子かな?」
私は兎を抱き上げると兎は気持ちよく眠ってしまった。
「どうしよう…。」
帰れもしないし、ほっとけないで私は取り合えずベンチに座りため息をついた。
「ウサ吉!!」
知らない人が突っ込んでくるように走ってくる。
私は行きなりのことで動けないでいた。

ドンーー!

彼はベンチの背もたれを私を挟んで掴む。
流石に寝ていたウサ吉ビックリして起き上がった。
「あの…この子貴方のですか?」
「ああ、行方が分からなくなっちまってな。」
彼はウサ吉を抱き上げて
「探したぞ、ウサ吉。もう、俺から離れるなよ」
「とっても大事にしてるんですね♪」
「ああ、母親代わりをしてるのさ」
「でも、お母さんじゃ無くてお父さんですけどね♪」
「ははっ♪なら、おめさんがウサ吉の母親になってくれるか?」
「へっ!?」驚く私に微笑む彼。
「今のは冗談。でもその気なら何時でも歓迎たよ。
俺もウサ吉もな。」
ウサ吉はつぶらな瞳で私を見つめる。
「あははっ♪考えときます。」
彼は私に背を向け手を振る。
「そうしてくれ。なんなら俺の俺の嫁さんでもいいぞ、由香。」
「どうして私の名前を…。」
彼はウサ吉を撫でて
「ウサ吉がさっき教えてくれさのさ♪」



5.泉田塔一郎
課題のために図書室で参考文献を探していた。
「えーと…。あった!」
探していた本が見付かり手を伸ばした。
その時隣の人と手が触れた。
「あっ、すみません。」
「こっ、こちらこそ!てっ…花佐部さん。」
「泉田くん、奇遇だね♪」
泉田くんは本を手に取り私に手渡す。
「ありがとう、泉田くんも課題?」
「うん、そうなんだ、良かったら一緒にどうですか?」
「いいの?喜んで♪」
私は席に向かおうとした。
「待って下さい。」
突然わたしの肩を掴む泉田くん。
「えっ?」

ドンーー!

泉田くんは片手は本棚に手を当てて、もう一方は私の肩に手を置いていた。
「えっ…と、泉田くん?どうしたの?」
「あ!いや、その!ちょっとつまずいてしまって…」
泉田くんは少し目を反らした。
「大丈夫?調子悪いなら保健室行くよ?」
「ああ!いや、大丈夫ですよ!」
「?変な泉田くん♪」
私はクスリと笑う。
その時黒田くんが目に入った。
「あっ…黒田くん!黒田くんも課題かなぁ…?」
私は黒田くんに手を振った。
泉田くんは私の後ろで溜め息をついた。



6.真波山岳
真波くんが自転車に乗って颯爽と現れる。
「あ、先輩!」
「おはよう、真波くん今日もいい天気だね」
「そうですよねぇ。眠たくなっちゃいます♪」
「寝ちゃ駄目だよ。」
「分かってますよー♪」
真波くんは自転車を降りて私に近付く。
私を壁際に押しやると
「どうしたの?」
「先輩♪」

ドンーー!

「……?」
真波くんが拍子抜けな顔をした。
「あれ…?これで落ちるてっ聞いたんだけどなぁ…。」
「それ、どうせ東堂くん情報でしょ?」
真波くんは驚いた顔をして
「先輩超能力者ですか…?」
「そんなわけ無いでしょ。さ、退いた、退いた♪」
「俺は退きませんよ。花佐部先輩が俺に振り向くまでは」
凄い真剣な顔をしていた。
「今のはキュンときた。」
「え!本当!?」
私は真波くんの手からするりと抜けて
「さぁね♪さ、授業始まるよ♪」
真波くんは立ち去る背中を見詰めて呟いた。
「んー…難しいなぁ…。」


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