心愛と信愛 | ナノ

欲望


「久しぶりだね♪葦木場くん。」
「由香ちゃん!?」
俺はあたふたしながらも内心とても嬉しかった。
久しぶりに会えた!
それに由香ちゃんとても可愛くなってる。
ああ!何から話そうか!
「おい!葦木場!取り合えずここから出るぞ。」
「え?雪ちゃんなんで?」
「いいから!」
雪ちゃんが俺の手と由香ちゃんの手を握り教室を出る。
走っている間何度も目が合う。
合うたびにオレと由香ちゃんは笑顔になった。
なんて幸せなんだ!

結局、音楽室まで来てしまった。
「ここまで来りゃ大丈夫だろ…。」
「雪ちゃんも大変だね♪」
「お前なぁ…。まぁ…いっか…。」
雪ちゃんは由香ちゃんの方に目をやり
「まさかお前がこんな美人と仲良かったなんてな」
「はじめまして花佐部由香 です。」
「俺は黒田雪成だ、よろしくな。
俺も由香ちゃんてっ呼んでいいか? 」
「だーめ!由香ちゃんてっ呼んで良いのはオレだけだもん! 」
「そんなもん別に良いじゃねーか。
な?俺も呼んでいいよな?」
「どうぞ、良いですよ♪」
「もー!由香ちゃんたら!」
オレは由香ちゃんを見つめると
由香ちゃんは笑顔で見返してくれた。

「あ!そうだ!葦木場くん!」
「ん?どうしたの?」
「ピアノ聞かせて欲しいな♪」
「なら、オレは由香ちゃんの歌声が聞きたいな♪」
やっぱりこの気持ちは変わってなかったんだ。
オレは音楽室にあるピアノに手をかけ奏でる。
由香ちゃんも歌う。
やっぱりオレ達はそれだけで十分だったんだ。

それだけ…で…十分…?
通じ合えるだけでいいの?
もっと欲しいじゃないの?

「葦木場くん!」
「葦木場!」
「…!!」
いつの間にか手が止まっていた。
「ごめん、ぼーっとしてた。」
「大丈夫?」
「うん、オレは大丈夫だから♪」

オレは一体何を考えて…。
オレはこれで良いんだ!
オレはこれで良い…んだ。
自分に何度も言い聞かせた。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -