悔しくて…
ペダルを回し、スタート地点まで戻ってきた。
結局、金城には勝てなかった…。
負ける事は、分かっていたのに…。
悔しかった。
迅の時は、あまりおもわなかったのに…。
ッー…。
「花佐部 、どうした?!」
金城が慌てて私に駆け寄った。
「あれ…どうしたんだろうな…俺。はははっ…。」
私の瞳には涙が流れていた。
トン…。
「…!!!」
金城が片手で私を抱き寄せた。
「よく、頑張ったな。」
ただ一言…一言だけ呟いた。
「金城、次は負けないからな!」
金城から離れて笑顔で言った。
「ああ!望むところだ!」
金城もとても楽しそうだった。
そうして、私達は別れた。
今日は楽しかったな…。
今日の事を頭の中で再生する。
金城に抱き寄せられたときの事を思い出したとき…。
「…!?」
胸に違和感を感じた。
まただ…。
しかも、今回は重度の違和感…。
日に日に酷くなっている気がする。
今度病院に行こう…。
これは、きっと酷い病気なのだろう…。
もし、そうだったら…
私は怖くなった…。
もう、皆と金城と一緒に走れなくなる事が…。