日記
あれから2日。
俺は今病院に来ている。
幸い由香は一命を取り止めたが
まだ目を覚ましていない。
俺は何度も彼女の手を握りしめ祈った。
¨頼む…目を覚ましてくれ¨
俺はまだ…君と離れたくない。
ガラリー
扉が音を立てて開く。
「福チャン。」
「荒北…。」
荒北は俺に近づき一冊の本を渡す。
「これは…?」
「由香チャンの兄貴今日、学校の方に来て
福チャンに渡してくれてっ頼まれたんだヨ」
「すまない、荒北。」
「んじゃ、俺行くわ…。」
「ああ。」
荒北は部屋を出て行ってしまった。
二人きりになった病室で本を開く。
「日記か…?」
ページをめくる…。
○月○日
今日は男の人が一緒に横断歩道を渡ってくれた。
名前は聞けなかったけど林檎が好きな可愛い人だった。
また、会えるといいな。
○月△日
あの時の男の人にまた会えた。
福富寿一さんか素敵な名前だな。
箱根学園の自転車競技部。
きっと強くて格好いいんだろうな。
○月●日
今日は福富くんが一緒に渡ってやるてっ言ってくれた。
でも、福富くんの質問に答えられなかった。
嫌われるのが怖かったから
でも林檎をあげたら嬉しそうにしてくれた。
福富くんてっやっぱり可愛い人。
そんな感じて毎日俺の事が書かれていた。
何気ない会話の事
今日は会えなかった事
メルアドの交換の事
自分が描いた絵を褒めてくれた事
「…!」
俺はページをめくる手を止めた。
そこには俺が告白した事が書かれていた。
そしてそこに書かれていた由香の隠し事。