心愛と信愛 | ナノ

プレゼント


部活も終わり帰り道。
ふとケータイに目をやるとメールが来ていた。

花佐部からだった。
内容は…
「なっ…!?」
俺のケータイには有り得ないことが書いていたのだ。

¨はい♪喜んで!
福冨くんと一緒に映画観に行けるなんて嬉しいです。¨

俺は直ぐ様自分の送信メールを見ると
¨今週末に映画を観に行きませんか?¨
と書いていたのだった。

「まさか…東堂か…?」
その時電話が掛かってきたのだ。
電話の主は東堂だった。
「おー!どうだ由香とは映画行けそうなのか?」
「ああ。」
「良かったではないか!俺のお陰だな♪」
「ああ、感謝している」
「そうだ、フク良いことを教えてやろう。
その日は彼女の誕生日だ!」
「そうなのか…」
「サプライズプレゼント送ってやると良い。
女の子はサプライズに弱いからな♪」
「ああ、分かった。」
「結果楽しみにしているぞ♪」
「うむ。」

電話を切り早速プレゼントを買いに近くの店に寄った。
プレゼント選びに迷っていると
「福冨くん…?」
聞き覚えのある声に呼び止められた。
振り返ってみると
そこには花佐部が居たのだ。

「花佐部…。」
彼女はにっこりと笑顔を見せてから
「福冨くんこんな所で会うなんて嬉しいです。」
「俺もだ」
「あ!映画誘ってくれてありがとうございます。
そのっ…楽しみにしてます!」
「ああ。」
映画といっても何を観に行くのだろうか…。
急だったため何も考えていない。

「福冨くん…あの…」
「どうした?」
「もし…観に行きたい映画決まって無かったら…
これ…観に行きませんか?」
といって一枚のビラを見せる。
ビラを見ると恋愛映画だった。
「…!?ああ、そうしようか…。」
「ありがとうございます。」
俺はあることに気づいた。

「花佐部。」
「何ですか?」
「絵を描くのが好きなのか?」
「えっ!?なんで判ったんですか?」
どうやら図星のようだ。
花佐部の鞄から
スケッチブックが顔を出していたからだ。
彼女はそれを取りだし俺に見せる。
主に風景画が多く
どれも上手に描かれていた。

「上手いな…。」
「福冨くんにそう言って貰えて嬉しいです。」
彼女の照れ笑いをしてから
「福冨くんは…買い物は終わりましたか…?」
「…?ああ。」
本当は未だだが彼女の前では買えない。
だからまた今度行こう。

「良かった…。」
「花佐部?」
彼女は俺の服の裾をつかみ。
「途中まで…あの信号まで…一緒に帰りましょう♪」
「ああ、そうだな。」
俺は思わず笑みを浮かべてしまった。


そして
長い道のりを二人で歩いた。
この時間が何よりも落ち着くのだ。


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