心愛と信愛 | ナノ

恋のキューピッド


その日から花佐部からメールが来るようになった。
内容は何時もと変わらない事だ。
部活帰りに会えば少しだけ話を交わして
ただそれだけの事だが俺は嬉しかった。

彼女のことを知る事が出来たからだ。
花佐部は箱学の近くの高校生で
年は俺と同い年、趣味はお菓子作り。

今度作って作ってくれるだろうか…。
あの時のアップルパイを。
「フクー!フクー!」
「…!東堂…。」
「お昼だぞ〜!食堂へ行こうではないか!」
「ああ、そうだったな」
「どうしたのだ?最近、上の空だな」
「そうか…?」
「そうとも!」
「それはすまなかった。次からは気を付けよう。」
東堂は目を細め俺を睨む。
「どうした?」
「由香ちゃんか?」
「ああ、そうだ。」
「ハハハハー!やっぱりか!」
東堂は大きく笑った。
「俺は花佐部の事が気になっている。
彼女は人懐っこさと明るい笑顔、信号を渡る時に握られる袖といい俺の心を熱くしてくれる。」
「いや…そこまで真面目に返されると俺が困る。」
「そうか…。」
「で?どこまでいったのだ?」
「メールを交わす程度だ。」
「なぁ!?それだけ!?」
「…?ああ。」
東堂は頭を抱えた。
「どうした?気分でも悪いのか?」
「違うのだ…。もっと…こう、なんだ…付き合う程度にまでとかさ、二人で遊びに行ったとか…無いのか?」
「無いが…変か?」
「いや…フクらしいよ…。」
「そーだヨ!オメェとは違ぇんだよ!」
「あ…荒北!」
東堂の後ろには荒北がいた。
「何時まで経っても来ねぇから迎えに来たンダヨ!
新開ィなんかもう食い始めてっンぞ!」
「なぁ!?行くぞフクー!」
「ああ。」
俺達は食堂へ向かった。

道中東堂が俺にケータイを貸して欲しいと言った。
「…?どうするつもりだ?」
「まぁ…なんだ…」
俺のケータイを触ったのはたったの一分位だった。
「恋のキューピットに成ってやったぞ!」
ドヤ顔でケータイを返される。
「…?」

東堂は俺のケータイを使って
花佐部にメールを送っていたのだ。
そんな事を知らずに俺は食堂に向かったのだった。










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