心愛と信愛 | ナノ

残酷な事実


男は愛する人を探した。
何度も探しても見つからない。
アイツの家、学校、公園…
愛する人がよく行く場所。
何処へ行っても見つからない。

もう…日が暮れて辺りが暗くなっていく。
「もう…ダメだ…。今頃由香は…。」
彼女は今頃アイツに酷いことをされているに違いない。
そう考えるだけで腹立たしく、悔しく、悲しい。

拳を握り締める手が強まる。
痛いほどに。
そんな拳を後ろから握り締められる。
優しい…温かい手で…。

「は…隼人…」

声だけで分かる…!
自分の愛する人…。
「由香!!」
「ふぁ!」
思わず抱き締める。
強く、もう離さない為に。

「ごめんな…由香、俺…。
今まで嘘吐いちまって…お前を守りたい一心で…」
「隼人…。」
「でも、次は絶対に離さない。由香を愛してる。」
男は自分の気持ちを紡ぐが
それは一瞬にして…
「ごめんなさい。」
砕かれたのである。
「由香…?」
「隼人…。ごめんなさい。私…」
男は言葉を失った。




だって
自分の愛する人は
¨アイツの彼女¨になったのだから…。


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