心愛と信愛 | ナノ

臆病な男と記憶を無くしたお姫様


昔々昔々、あるところに
お姫様のことが好きな男がいました。
男はお姫様を影から見つめるだけで充分でした。
だってお姫様の側には王子様が居たのだから。

王子様は皆から信頼されている素敵な存在でした。
そんな王子様はお姫様のことを愛していた。
でも、男は知っていたのです。
王子様は本当は悪魔であると…。
お姫様を苦しめている存在であると…。

ある日のことです。
お姫様は姿を現さなくなりました。
皆は体が優れないのだと思っていましたが
男には分かっていました。
お姫様は王子様の皮を被った悪魔に拐われたと。

男はこの世界で唯一真実を知っているのに
臆病者であることを理由に逃げ出したのです。
男はただお姫様の身を案じるしかなかったのです。

時は流れ
男の元に伝言が入ったのです。
¨お姫様が馬車に引かれた¨と。
男は直ぐに悟りました。
お姫様は悪魔から逃げ出す途中で引かれたのだと。
男は急いで病院へ向かいました。

お姫様の居る部屋に向かうと
苦しそうな顔をした悪魔が居ました。
男はお姫様が死んでしまったのだと思いました。

絶望の中部屋に入りお姫様の名前を呼びました。
ですがお姫様は返事をしなかったのです。
だって、お姫様は記憶を失ったのですから…。
お姫様は自分が分からないのですから…。

お姫様は男に自分は何者か問いました。
男は今度こそお姫様を守ろうと誓いました。
そして、男はお姫様に言いました。
¨貴女の王子様です¨と…。

お姫様と王子様の皮を被った男は幸せに暮らしました。
ですが、嘘は何時かはバレてしまうもの
お姫様は男は本当の王子様でないと疑い始めました。

臆病な男はお姫様に正直に話すことを決めました。
ですが、無知なお姫様は悪魔に唆されてしまい。
最後にはお姫様は悪魔に連れていかれてしまいました。

男が伸ばした手は届かなかった…。
お姫様は悪魔に捕まってしまった…。

男は涙を流しながら空を見つめた…。
そんな男の前に現れたのは…一人の民でした。






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