詰まる
「寿一、ここ教えてくれ」
「ああ、」
ファミレスに集合した俺達は勉強会なのか
新開と東堂の宿題を教えているのか…。
「新開…その問題中学生レベルだぞ」
「ん?そうなのか…?」
東堂が呆れるなか俺は宿題の作文を書く。
作文の題材は¨大切な人について¨だった。
ペンが中々進まない…。
こんな宿題など家族や仲間について書けば終わるのに
俺は花佐部のことを考えてしまう。
「…チャン?」
「…。」
「福チャン!」
「…!」
荒北は俺の肩を叩き
「見ろよ!あれ由香チャンじゃナァイ?」
「…!」
指差す先には花佐部がいた。
男と歩いている。
彼氏なのか…?
いや、違う事にしておこう。
「行かないの?福チャン。」
「ああ、迷惑になるだけだ。」
「ヘェ…。」
「なぁ、寿一。」
「どうした?新開」
新開が目の前のバナナパフェを食べながら
花佐部が座っている席を指した。
「尽八が彼女の席に向かったぞ」
「ハァ?あのバカァ!」
東堂が花佐部のいるテーブルの前に立つ。
「あの…なにか…?」
花佐部が困った顔をしている。
東堂はどや顔でケータイを突き付けた。
「俺とメルアドを交換してくれ!」
「…!?ゴホッゴホッ!」
「福チャン!?」
俺はアップルパイを喉に詰まらせた。