心愛と信愛 | ナノ

林檎


彼女は唐突な質問に惑いを見せる。
「あ…えっと…それは…。」
「いや、話さなくていい」
「あ…私…」
俺の質問は彼女を困らせるだけだ。
「すまない…変な事を聞いてしまった」
「いえ、いいんですよ♪」
彼女は苦笑いしていた。

ここで信号を全て渡りきってしまった。
時間が惜しい…。
「今日はすまなかった。」
「そんなっ!気にしないで下さい!」
「花佐部、気を付けて帰れよ。」
俺は彼女に背を向けて足を進める。
だが、それを彼女は許さなかった。

ガッー
「…!?花佐部?」
彼女は俺の袖ではなく手を握りしてめいた。
「あの!福富くん!」
彼女は紙袋に包まれた物を手渡す。
「こ…これは?」
「林檎好きてっ言ってましたよね?
だから、林檎…あげます!」
「ありがとう。花佐部。」
彼女は頭を下げると
「また、会えると良いですね♪」
「そうだな…。」


彼女と別れてから荒北が走って戻ってきた。
「福ちゃん!どうだった?」
「林檎を貰った。」
「良かったじゃナァイ♪」
俺は紙袋の中身をあける。
そこには真っ赤な林檎………が…?
「アァ?福ちゃん聞き間違えてんじゃネーの?」
「いや、花佐部は確かに林檎だと…」

袋の中に入っていたのは
形は似ているが赤では無く黄緑色の梨が入っていた。




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -