心愛と信愛 | ナノ

お調子者


カチューシャを着けたヒトがコチラに近づく。
「えっと…。どちら様で…?」
「由香チャン。あれはただのバカだからァ。」
「なぁっ!?バカとはなんだ!バカとは〜!」
「えっ…?バカ…?」
「なぁっ!?由香まで!」
カチューシャのヒトは肩をガックリさせる。

「仕方ない…。由香よ。
俺は美形クライマーの東堂尽八だ!」
両手を握られる。
「どうだ?由香よ。俺のファンクラブに…」
「入らねェヨ!!!」
「ほぅ…。さては…
俺と由香が仲良くしてるのが羨ましいのか?」
「へぇっ…?」
「ハァ!?」
東堂くんは勝ち誇った様な顔をしている。
「ハッハッハッ!荒北よ。
この美形が羨ましいだろ〜♪
さぁ由香よ!俺のファンクラブに♪」
荒北くんが無言で席を立ち上がる。
「あ、荒北くん…?」
「テメェ…覚悟しろよ…!」
「まっ!待て!荒北!早まるな!」
東堂くんが教室の外へ逃げる。
荒北くんが追いかける。
「ぎゃあああ!」
私の視界から消えたとき悲鳴が聞こえたような…。

「花佐部。大丈夫か?」
「はい、えっと…。」
私の前に金髪の大きな体の男が視界に入る。
「寿一、由香は記憶が無いんだ。」
横から隼人が現れる。
「隼人、こちらの方は…?先輩…?」
「いや、同学年だよ。福富寿一てっんだ。
同じ部活の仲間で俺の旧友だよ。」
「はじめまして!花佐部由香です!」
「知っている」
「あっ、ごめんなさい!」
そうだ、忘れているのは私の方だった。
「いや、構わない。本当に記憶が無いんだな…。」
「はい…。そうなんです。」


記憶が無いのって大変だな…。





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