心愛と信愛 | ナノ

後悔


今日は荒北と二人で帰り道を歩く。
「今日、会えるといいナ。福ちゃん」
「そうだな…。」
あの横断歩道に差し掛かる。
「ア…。」
「荒北…?」
ドッー
荒北が俺の肩を叩く
「悪ィ…、俺学校に忘れもんしたから先行ってくれ」
「あ…ああ。」
荒北は猛ダッシュで来た道を戻っていった。

横断歩道の方へ目を向けると
全てを察することが出来た。
横断歩道を待つ一人の女が…。
花佐部が居たからだ。

目の前の信号は青になっているのに
彼女はオドオドしていた。
誰も他に渡る人がいないからか?
だが彼女はそんな年ではない。

俺は喜びと疑問を抱きながら彼女に近付いた。
「花佐部、渡らないのか?」
「あ…福富くん!」
俺を見たとたん笑顔になった。
「また、会ったな。」
「うん!そうだね♪」
彼女は俺の袖を掴む。
「あのっ…!」
「一緒に信号渡ってやる。」
彼女は目を丸くしてから、はにかんでみせた。
「あ…ありがとうございます…。」

二人で同じ道を歩く。
「今日は部活だったんですか?」
「ああ、今日もハードな練習内容だった。」
「凄いですね」
3、4言葉しか交わせない言葉。

「なぁ…。花佐部。」
「なんですか?」
俺は前々から気になっていた。
はじめて会った時から気になっていた。
「お前はどうして信号を一人で渡れないんだ?」


その瞬間、俺は悟った。
これは聞いてはいけない質問だと。
彼女に嫌われてしまうと後悔した。



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